国内

伊藤詩織さん「山口氏と闘うつもりない。仕組みを変えたい」

著書『Black Box』を上梓した伊藤詩織さん

「私は相手の男性を告発したいのではありません。性犯罪の被害者が泣き寝入りせざるを得ない日本の司法システムや捜査方法、そして被害者に対して不寛容な社会のあり方を少しでも改善したくて、声を上げたのです」

 力を込めて語るのは、ジャーナリストの伊藤詩織さん(28才)。詩織さんは2015年4月3日、レイプ被害を受けたという。国際的なジャーナリストを目指し、希望に満ちていた彼女の人生は、この晩の出来事で一変してしまった。

 10月18日に著書『Black Box』(文藝春秋)を上梓した彼女は、そこで初めてフルネームを明らかにした。

「世間からは『すごく勇気のある女性』と思われているけど、私は特別強い人間ではありません。レイプ被害は誰にでも起こることです。真実についてふたをしていたら自分のなかで苦しくなるだけなので、顔と名前を出して伝えようと決めました」(詩織さん)

〈「警視庁刑事部長」が握り潰した「安倍総理」ベッタリ記者の「準強姦逮捕状」〉

 今年5月、『週刊新潮』(5月18日号)にこんなタイトルの記事が掲載された。記事中で「被害女性」とされたのが詩織さんだった。

 ニューヨークの大学でジャーナリズムと写真を専攻していた詩織さんは2013年秋頃、仕事で同地を訪れた元TBSテレビ報道局ワシントン支局長の山口敬之氏(51才)と知り合った。

 2015年3月、一時帰国して就職活動をしていた詩織さんが山口氏に仕事の斡旋を問い合わせるメールを送り、山口氏がTBSワシントン支局での採用を約束して以降、2人はメールをやり取りするようになる。

 同年4月3日、「就労ビザについて話したい」と山口氏から連絡を受け、2人は東京・恵比寿の串焼き店で会食する。山口氏はその場では仕事の話をせず、「予約してる店がある」と言って2軒目に誘った。

 しかし、串焼き店から徒歩数分の寿司店で日本酒を2合ほど飲み、気分が悪くなってトイレに入ってから、詩織さんの記憶はプツリと途絶えた。

「その後、下腹部に激しい痛みを感じて意識を取り戻すと、ホテルの一室で山口氏が私の体の上に乗っている状態でした。避妊具はつけていませんでした。私はお酒に強く、酔って記憶をなくした経験は一度もありません。記憶障害の症状が出たことからも、お酒にデートレイプドラッグ(効き目の強い睡眠薬)を入れられたことを疑いました」(詩織さん)

 パニックに陥った詩織さんはトイレに駆け込み、自分の体を確認すると、ところどころ赤くなり、血がにじんでいた。はい出るように服を着て、ホテルを出た際の心境を彼女は著書でこう記す。

〈私は自分が被害者になるまで、性犯罪がどれほど暴力的かを理解していなかった。頭ではわかったつもりでいても、それがどれほど破壊的な行為であるか、知らなかった〉

関連キーワード

関連記事

トピックス

維新はどう対応するのか(左から藤田文武・日本維新の会共同代表、吉村洋文・大阪府知事/時事通信フォト)
《政治責任の行方は》維新の遠藤敬・首相補佐官に秘書給与800万円還流疑惑 遠藤事務所は「適正に対応している」とするも維新は「自発的でないなら問題と言える」の見解
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン
パーキンソン病であることを公表した美川憲一
《美川憲一が車イスから自ら降り立ち…》12月の復帰ステージは完売、「洞不全症候群」「パーキンソン病」で活動休止中も復帰コンサートに懸ける“特別な想い”【ファンは復帰を待望】 
NEWSポストセブン
遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
《自維連立のキーマンに重大疑惑》維新国対委員長の遠藤敬・首相補佐官に秘書給与800万円還流疑惑 元秘書の証言「振り込まれた給料の中から寄付する形だった」「いま考えるとどこかおかしい」
週刊ポスト
「交際関係とコーチ契約を解消する」と発表した都玲華(Getty Images)
女子ゴルフ・都玲華、30歳差コーチとの“禁断愛”に両親は複雑な思いか “さくらパパ”横峯良郎氏は「痛いほどわかる」「娘がこんなことになったらと考えると…」
週刊ポスト
話題を呼んだ「金ピカ辰己」(時事通信フォト)
《オファーが来ない…楽天・辰己涼介の厳しいFA戦線》他球団が二の足を踏む「球場外の立ち振る舞い」「海外志向」 YouTuber妻は献身サポート
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
《高市首相の”台湾有事発言”で続く緊張》中国なしでも日本はやっていける? 元家電メーカー技術者「中国製なしなんて無理」「そもそも日本人が日本製を追いつめた」
NEWSポストセブン
海外セレブも愛用するアスレジャースタイル(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
「誰もが持っているものだから恥ずかしいとか思いません」日本の学生にも普及する“カタチが丸わかり”なアスレジャー オフィスでは? マナー講師が注意喚起「職種やTPOに合わせて」
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「旧統一教会から返金され30歳から毎月13万円を受け取り」「SNSの『お金配ります』投稿に応募…」山上徹也被告の“経済状況のリアル”【安倍元首相・銃撃事件公判】
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《バリ島でへそ出しトップスで若者と密着》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)が現地警察に拘束されていた【海外メディアが一斉に報じる】
NEWSポストセブン
大谷が語った「遠征に行きたくない」の真意とは
《真美子さんとのリラックス空間》大谷翔平が「遠征に行きたくない」と語る“自宅の心地よさ”…外食はほとんどせず、自宅で節目に味わっていた「和の味覚」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 維新の首相補佐官に「秘書給与ピンハネ」疑惑ほか
「週刊ポスト」本日発売! 維新の首相補佐官に「秘書給与ピンハネ」疑惑ほか
NEWSポストセブン