スポーツ

角居勝彦調教師 直線でぶつかる格闘技としての競馬を語る

角居勝彦調教師が競馬の激しさを語る

 併走することで競走馬の闘争本能をかき立てる効果を期待する調教を「併せ馬」という。キレで勝負する馬とは別に、「勝負根性」をウリにする馬もいる。数々の名馬を世に送り出した調教師・角居勝彦氏による週刊ポストでの連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」から、格闘技としての競馬について考察する。

 * * *
 ラストの直線。外に出すか内ラチ沿いに切れ込むか。前回は外側のメリットを中心に書きました。内側はどうしてもゴチャつきやすく、スムースに走りにくい面はあります。

 しかし狭いところが好きな馬もいる。馬体がぶつかっても怯まず、気合が入るタイプです。

 ぶつかることは、日本の競馬ではあまりよしとはしないものの、ヨーロッパでは普通にぶつける。寄せていけば相手も張り合ってくる。陸上の短距離のように走行レーンが決まっているわけではないので、ぶつかって当然。競馬には格闘技の側面もあるということです。「狭いところをこじ開ける」と、よく聞きますね。頭だけ入って、横に揺すって広げていく。ヨーロッパのジョッキーはそれをやります。

 日本でもペナルティを科せられない範囲ならばありではないでしょうか。闇雲ではなく、隣の状況が見えていて、乗り手に自信があることが条件。大事なのは隣の馬の後方の様子。ぶつけたことで隣の後ろが不利を被るといけません。

 ぶつかるといえば、角居厩舎ではやはりデルタブルースでしょう。厩舎に初のGI勝利をもたらした2004年の菊花賞では、4コーナーを回って先頭を行くコスモバルク(4着、五十嵐冬樹騎手)に外からぶつかった。あれでデルタに気合が入った。鞍上(岩田康誠)の気性も無関係ではなく、まあ喧嘩です(笑い)。

関連キーワード

関連記事

トピックス

防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
《浜松・ガールズバー店員2人刺殺》「『お父さん、すみません』と泣いて土下座して…」被害者・竹内朋香さんの夫が振り返る“両手ナイフ男”の凶行からの壮絶な半年間
NEWSポストセブン
リモートワークや打合せに使われることもあるカラオケボックス(写真提供/イメージマート)
《警視庁記者クラブの記者がカラオケボックスで乱痴気騒ぎ》個室内で「行為」に及ぶ人たちの実態 従業員の嘆き「珍しくない話」「注意に行くことになってるけど、仕事とはいえ嫌。逆ギレされることもある」 
NEWSポストセブン
「最長片道切符の旅」を達成した伊藤桃さん
「西国分寺から立川…2駅の移動に7時間半」11000kmを“一筆書き”した鉄旅タレント・伊藤桃が語る「過酷すぎるルート」と「撮り鉄」への本音
NEWSポストセブン
ドジャース・山本由伸投手(TikTokより)
《好みのタイプは年上モデル》ドジャース・山本由伸の多忙なオフに…Nikiとの関係は終了も現在も続く“友人関係”
NEWSポストセブン
齋藤元彦・兵庫県知事と、名誉毀損罪で起訴された「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志被告(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志被告「相次ぐ刑事告訴」でもまだまだ“信奉者”がいるのはなぜ…? 「この世の闇を照らしてくれる」との声も
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さん(Xより)、高野健一容疑者の卒アル写真
《高田馬場・女性ライバー刺殺》「僕も殺されるんじゃないかと…」最上あいさんの元婚約者が死を乗り越え“山手線1周配信”…推し活で横行する「闇投げ銭」に警鐘
NEWSポストセブン
伊勢ヶ濱親方と白鵬氏
旧宮城野部屋力士の一斉改名で角界に波紋 白鵬氏の「鵬」が弟子たちの四股名から消え、「部屋再興がなくなった」「再興できても炎鵬がゼロからのスタートか」の声
NEWSポストセブン
環境活動家のグレタ・トゥンベリさん(22)
《不敵な笑みでテロ組織のデモに参加》“環境少女グレタ・トゥンベリさん”の過激化が止まらずイギリスで逮捕「イスラエルに拿捕され、ギリシャに強制送還されたことも」
NEWSポストセブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
荒川静香さん以来、約20年ぶりの金メダルを目指す坂本花織選手(写真/AFLO)
《2026年大予測》ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケート 坂本花織選手、“りくりゅう”ペアなど日本の「メダル連発」に期待 浅田真央の動向にも注目
女性セブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン