等身大の加山の魅力に加え、青春映画に欠かせないマドンナの煌きもシリーズの人気を後押しした。
若大将の大学卒業までを描いた〈大学編〉の『大学の若大将』(1961年)から『リオの若大将』(1968年)までは恋人・澄子を星由里子が、〈社会人編〉の『フレッシュマン若大将』(1969年)から『若大将対青大将』(1971年)までの恋人・節子は酒井和歌子が演じている。
そして、第2の若大将ともいえるのが、田中邦衛が扮する若大将のライバル・青大将だろう。当初は若大将と敵対するが、やがて友情が芽生えていき、悪友という憎めないキャラクターに成長した。
「青大将の田中邦衛さんとは、映画でもプライベートでも最高のコンビでした。彼は5歳も年上で、共演する前に黒澤明監督の『悪い奴ほどよく眠る』(1960年)に出ているのを観ると殺し屋の役でね。この人が青大将なんておっかねぇなあ、とんでもないなあって身構えましたよ。でも、会ってみたらそういう印象とまったく違って、優しくてユニークな人でした」
■取材・文/戸田梨恵
※週刊ポスト2017年12月1日号