ビジネス

相続税徴収 膨大な財産情報持つKSKシステムとは

油断していると、ある時突然「税務署ですが」

「○×税務署です。相続税の件でお宅にうかがいます」──国税局の“相続税マルサ”は忘れた頃に突然現われる。それはこの1本の電話から始まる。「臨宅(りんたく)」と呼ばれる実地調査の通告で、故人が亡くなって2年ほど経ち、遺産相続の手続きがとっくに終わってから行なわれることが多い。

 現在、東京都内の居住者が亡くなれば10人に1人、地価が高い23区内の居住者なら5人に1人に相続税がかかるとされる。相続税を申告しなかった「無申告」のケースにもしっかり網がかけられる。

 死亡届が出されると、区役所や市役所から税務署に連絡が入る。税務署は管轄内の死亡者をほぼ100%把握し、故人に土地や家などの不動産資産があれば相続税の課税対象かどうかすぐわかる。国税OBで東京都内の税務署の資産課税部門を歴任した税理士の武田秀和氏が語る。

「相続人の中には、株や預貯金など金融資産までは全部わからないだろうとタカをくくって申告しなかったり、過少申告したりするケースもありますが、国税局はKSKシステム(国税総合管理システム)で個人と法人の株や不動産取引から給料の支払調書、確定申告など膨大な財産情報を収集している。誰かが亡くなればそのデータを駆使して相続税が課税されるか判定します」

 相続税の申告(納付)期限は死後10か月。控除額以上の遺産があるのに相続税が「未申告」だったり、申告漏れが疑われる場合は事前に銀行に預金の照会をかけるなど、1年ほどの期間をかけて調査対象をじっくりと絞り込む。

 だから相続人に対する「臨宅(りんたく)調査」の通告まで死後2~3年もかかり、通告があれば、かなりの確率で加算税付きで相続税を追徴課税されるのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
『あんぱん』“豪ちゃん”役の細田佳央太(写真提供/NHK)
『あんぱん』“豪ちゃん”役・細田佳央太が明かす河合優実への絶対的な信頼 「蘭子さんには前を向いて自分の幸せを第一にしてほしい。豪もきっとそう思ったはず」
週刊ポスト
韓国アイドルグループ・aespaのメンバー、WINTERのボディーガードが話題に(時事通信フォト)
《NYファッションショーが騒然》aespa・ウィンターの後ろにピッタリ…ボディーガードと誤解された“ハリウッド俳優風のオトコ”の「正体」
NEWSポストセブン
「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/五十嵐美弥)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
NEWSポストセブン