スポーツ

カーリングのシャカシャカに潜む「深い意味」と「お値段」

世界トップクラスのパワーを持つ山口剛史選手(右)

 平昌五輪まであと2か月あまり。フィギュアスケートやスキージャンプ、スピードスケートなどの花形競技に加え、今回は史上初の男女ペア出場となったカーリングにもメダルの期待が集っている。カーリングといえば、あの「シャカシャカ」が真っ先に思い浮かぶ。今さらだが、あの「シャカシャカ」にはどんな意味があるのか? そして日本のメダル獲得は「シャカシャカ」次第とされるが、本当なのか? カーリング取材を続けるスポーツライターの竹田聡一郎氏が解説する。

 * * *
「イエスイエス、イエース」

 シャウトとともに、滑るストーンの進みに合わせてブラシで氷上を履く。カーリングではお馴染み、というかむしろカーリングといえばあのシャカシャカを思い浮かべる人も多いのではないか。

 スウィープである。

 しかし、このスウィープ。カーリングの代名詞的なプレーでありながら、「清掃員」「露払い」などと揶揄されて、意外と理解されていないことが多い。しかし、清掃員も露払いもまったくの的外れというわけでもないのだ。

 スコットランドに起源を持つと言われるこのスポーツ、元々は屋外の湖などでプレーされていたようで、古くはストーンの前のゴミ等を取り除く目的でスウィープが行われていた。その名残で、屋内スポーツとして確立された現在も、選手の持つスティックは「ブラシ」と呼ばれている。

 では、「シャカシャカ」の現代の目的といえば、微調整という言葉がもっとも端的にすべてを表している。

 カーリングのシート(プレイエリア)には試合前に、水あるいはぬるま湯を撒き、アイスにぺブルと呼ばれる小さな氷の粒を作る。このペブルがストーンとの摩擦を生んで石がゆっくりと減速するのだが、そのペブルをブラシ、正確に言えばブラシの先端についたナイロンパッドで履いて溶かし、ストーンと氷の摩擦を小さくすることでストーンの進行距離を伸ばす。五輪に出場するようなトップレベルのチームが本気でスウィープすると、2メートル近くストーンを進ませることが可能とも言われている。

 また、距離を伸ばすだけではなく、一定方向からスウィープを行うことで、カールを始めたストーンをより曲げる、あるいは曲げないようにするというある程度のコントロールも可能だ。

◆「日本カーリング筋肉部部長」

 現在、カナダに長期遠征中の平昌五輪代表チーム、SC軽井沢クラブのスキップ・両角友佑(もろずみ・ゆうすけ)選手は「大きくショットウェイト(石を投げる速さ)を間違えなければ、うちのスウィーパーは(石を)置きたいところに運んでくれる」と日頃から語っているが、この競技においてスウィープの役割は小さくない。

 では、どんなスウィーパーが優れた選手なのか。同じくSC軽井沢クラブのメンバーでフィフス(リザーブ)の平田洸介選手に聞いてみた。

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン