戦前から1950年代まで隆盛を誇った日本の映画文化だが、テレビの登場で1960年代後半には少しずつ陰りが見え始める。だが大映は、江波杏子主演の「女賭博師(1966年~)」シリーズなど、女優の魅力で物語を引っ張る作品のヒットが続いた。
それでも映画界全体の人気低迷は止まらない。各映画会社が起死回生の策を打つなか、大映も1960年代後半には『あるセックス・ドクターの記録』や『ある女子高校医の記録』など、いわゆる“セックスシリーズ”で新たなファン層の開拓に打って出る。しかし観客動員数の右肩下がりに歯止めはかからず、1971年に大映は倒産。その後徳間書店傘下に入るなどの曲折を経て、現在は全作品を株式会社KADOKAWAが管理する。
「大映は文芸作品などにも精力的に取り組んでいましたし、その時々の時代を捉えた素晴らしい作品がたくさんあります。フィルムを回す映写機を持つ映画館が数少なくなったなか、日本の映画文化の財産ともいえるこうした旧作をデジタル化して後世に遺すのも私たち後輩の役目だと思っています。今回は京マチ子さん、若尾文子さん主演の『浮草』を4Kリマスター処理で上映します。美しい映像は、必見です」(原田氏)
なお、48作品を一挙公開する「大映女優祭」が12月9日~1月12日に開催される。伝説の映画人を輩出した映画会社・大映の創立75周年を記念し、京マチ子、若尾文子、山本富士子らの傑作が特別公開される。
■上映館:角川シネマ新宿(東京都新宿区新宿3-13-3新宿文化ビル)
■プログラムなどの詳細は「大映女優祭」http://cinemakadokawa.jp/daiei75-joyu/
★連動企画として、神保町シアターで「女優で観る<大映>文芸映画の世界」(~12/22)、
新文芸坐で「大映女優祭 in 新文芸坐 百花繚乱」(2018年1/26~2/9)なども開催。
写真提供/KADOKAWA
※週刊ポスト2017年12月15日号