山本富士子(85)は、1950年に開催された、第1回ミス日本において優勝。それをきっかけにスカウトを受け、各映画会社の争奪戦の結果、1953年に大映に入社。女優デビューは、主演の長谷川一夫の恋人役を務めた『花の講道館』(1953年)。その後、気丈で情熱的なヒロインを演じた『夜の河』(1956年)のヒットで、京マチ子、若尾文子らと並ぶ大映の看板女優のひとりとなった。
文芸作品の映像化を得意とする衣笠貞之助の監督作品である泉鏡花原作の『白鷺』(1958年)では、ブルーリボン主演女優賞を獲得。衣笠とはこのほか、同じく鏡花原作の『みだれ髪』(1961年)や、谷崎潤一郎の代表作『春琴抄』を映画化した『お琴と佐助』(1961年)といった文芸作品などで多くコンビを組んだ。
1963年に他社作品に出演を希望したことから五社協定に抵触し、スクリーンから遠ざかることとなった。それ以降は、主戦場を映画界から演劇界へシフトしている。
『大映女優祭』
■上映館:角川シネマ新宿(東京都新宿区新宿3-13-3新宿文化ビル)
■プログラムなどの詳細は「大映女優祭」http://cinemakadokawa.jp/daiei75-joyu/
★連動企画として、神保町シアターで「女優で観る<大映>文芸映画の世界」(~12/22)、
新文芸坐で「大映女優祭 in 新文芸坐 百花繚乱」(18年1/26~2/9)なども開催。
◆写真提供/KADOKAWA
※週刊ポスト2017年12月15日号