中国の首都、北京市では来年の春節(旧正月、2月16日)に先立ち、花火や爆竹の使用が禁止されることになった。北京市人民代表大会(議会に相当)は花火禁止条例案を可決し、即日発効した。しかし、中国は花火発祥の国だけに、市民や花火製造業者からは強い反発が出ている。
中国では毎年、新年を祝うために、爆竹を鳴らし、花火を打ち上げる習慣がある。これは、唐王朝時代(618~907年)に花火が発明されたことから、始められたといわれている。
花火や爆竹の音や炎で悪霊を遠ざけるとも考えられているからだ。それだけに、春節前後には中国全土で大量の爆竹や花火が消費される。
AFP電によると、近年では大規模な大気汚染が社会問題となっていることもあり、花火や爆竹を規制する都市が増えてきているが、北京市当局は市民が陽気でにぎやかに過ごす春節の祝日期間中にも、この禁止条例を適用するかどうかは明らかにしていないという。
香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」によると、今回の北京市の花火禁止令には「北京市独特のお家の事情があるようだ」としている。
それは、北京市では11月19日に低所得者が多く住む居住区画で19人が死亡する火災が発生し、同様の低家賃の住居ビルの取り壊しを行うなど、火災につながる危険物などを取り締まる措置を講じているからだ。
さらに、これらの区域には民工(ミンコン)と呼ばれる地方から出稼ぎ労働者が多数居住しており、治安の悪化などにも発展していることから、北京市政府は人口増の抑制のために、民工の市内への流入規制を強化していることも関係しているという。