事案先送りの姿勢は、国の機関にも及んでいた。原子力安全・保安院の幹部のひとりが、「福島第一原発の津波問題」の不作為を指摘しようとしたところ、「余計なことは言うな」「あまり関わるとクビになるよ」と脅されたという。
これらの事実が明るみになったことで、東電の経営トップは刑事告発された。彼らがこの裁判で負ければ、他の電力会社も、原発の再稼働に慎重にならざるをえないだろう。裁判のあとは、間違いなく株主代表訴訟に見舞われ、全財産を失いかねないからだ。注目の裁判は、年明けから本格化するという。
※週刊ポスト2018年1月1・5日号