この治療では痛みが緩和するだけでなく、骨転移した前立腺がん患者の生存期間を延ばすことができる。国際共同第III相試験で生存期間が約4か月延び、死亡リスクも約30%低下した、というデータが報告されている。JCHO東京新宿メディカルセンターでは、保険承認から約1年半の間に治療実績が24人と国内トップクラスだ。

「副作用としては、血液成分の減少や嘔吐、吐き気、食欲不振などが報告されています。ですが、いずれもそれほど重篤なものではありません。治療中は日常生活においての制約もなく、患者さんにとっては負担の少ない治療といえます」(黒崎部長)

 この薬品は、ラジオアイソトープ管理区域でないと注射できないため、その設備が整った医療機関でなければ治療が受けられない。末期ではなく、骨転移が発見されたばかりの患者に注射することで、一層の延命効果が期待できる。

 前立腺がんは様々な治療法があるので、放射線治療科と泌尿器科の連携が取れていることが、病院選びの一つの判断基準になるだろう。

■取材・構成/岩城レイ子

※週刊ポスト2018年1月1・5日号

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