加計と同じく首相の米国留学仲間である三井住友銀行前副頭取の高橋精一郎の姓名も新聞にはない。控えめな宴だが、首相はあえて中止にせず、増岡夫妻といっしょに4時間あまりを過ごした。増岡はそれだけ大切な友人だということだろう。その増岡本人に会うと、安倍家との交友についてこう話した。
「始まりは昭恵さんでした。僕と彼女は同じ歳で学生時代の遊び仲間。休みにテニスやスキーの合宿に行ったりする友だちでした」
増岡は聖心女子専門学校時代の昭恵と知り合ったという。天衣無縫と称される昭恵が森永製菓創業家の生まれなのは知られたところであり、本人は少女時代から本領を発揮し、普通の資産家の令嬢とは異なる学生時代を過ごしてきた。
名門聖心女子学院の初等科に入学するも、4年制大学には進まず、2年制の聖心女子専門学校を卒業して電通に入社する。その時代の遊び友だちが慶大生だった増岡であり、今風に言えば合コン仲間だ。増岡もまた、東京駅前の2200坪という広大な敷地に巨大なオフィスビルを所有する素封家の御曹司である。
「学校は違いますけど、私の学生時代のガールフレンドと昭恵さんが仲よしで、昭恵さんを紹介されたので、もう35年くらいの付き合いになるかな」
増岡自身がそう打ち明けてくれた。
「それで、『今度、この人と結婚するのよ』と紹介していただいた相手が総理。安倍晋太郎さんの息子さんだと聞かされ、お会いさせていただいたのです。当時の安倍総理は神戸製鋼の加古川工場で働いていて、神戸製鋼は私の祖父が建てた(第一)鉄鋼ビルにも入っている。さらに辿ってみたら総理と(増岡家)は縁続きでもあることがわかって、余計に身近に感じました」