ビジネス

国交省が実験する相乗りタクシー 不安は決して小さくない

タクシーの相乗り需要はどこまであるのか

 大雪の影響で首都圏の交通機関が麻痺した1月22日。電車やバスでの帰宅を諦めたサラリーマンがタクシー乗り場に長い列をつくる光景があちこちで見られたが、ちょうどその日、国土交通省は、同じ方面に向かう利用者同士を複数乗せる“相乗りタクシー”の実証実験を東京23区などで始める予定だった。

 実験スタートは24日に延期されたようだが、相乗りサービスの仕組みはこうだ。

 大手タクシー会社が導入している配車アプリに登録する利用者からタクシーの要請があると、同一地点もしくは近くで待つ人を行き先別に自動的にマッチングして迎車に向かう。そして、2~3人を乗せた後、最終目的地に向かいながら1人ずつ降ろしていくというもの。

 相乗りサービスの最大のメリットは、複数乗車することで運賃が安くなることだ。

 相乗り者が乗ったり降りたりするので多少の回り道は覚悟しなければならないが、総距離や時間帯を考慮した合計運賃(相乗り運賃算定基準額)を相乗り者それぞれの最短ルートの割合で分担すると、単独で乗車するより3~4割安くなるという。

 国交省が想定しているモデルケースでも、東京・錦糸町から浦安、船橋、津田沼と千葉方面に向かう相乗り者を3人乗せた場合、それぞれの運賃は単独より35%程度割安になっている。

 そして、走行ルートや運賃(クレジット決済)はすべて事前に決められるため、「遠回りされないか」「いくらかかるか分からない」といった乗客の不安や運転手と余計なトラブルが起きる心配もない。道順や金額に不満があれば、最初に呼ぶ段階でキャンセルすればいいだけだ。

 だが、タクシー利用者からはこんな声が聞こえてくる。

「終電を乗り過ごしたときや、台風や雪などの悪天候、大きなイベントなどでタクシーが捕まりにくい日に、相乗りタクシーですぐに乗れるなら助かりますが、途中で降ろす人の迂回路が大渋滞していたり、たまたま工事で通れなかったりして、やたらと時間がかかったらイヤですね。2、3割安くなるより早く家に帰りたい気持ちのほうが強い」(40代会社員)

 また、最近は配車アプリを使えばスムーズにタクシーが呼べるようになったが、「気軽になりすぎて、待っている間に『空車』を見つけて乗ってしまう人も多い」(法人タクシー運転手)という。相乗りサービスでも、肝心の相乗り者が待ち合わせ場所にいないという事態も十分考えられる。

 そもそも、見ず知らずの他人と一緒にタクシーに乗ることに抵抗を感じる人は多い。

関連記事

トピックス

国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
国民に「リトル・マリウス」と呼ばれ親しまれてきたマリウス・ボルグ・ホイビー氏(NTB/共同通信イメージズ)
ノルウェー王室の人気者「リトル・マリウス」がレイプ4件を含む32件の罪で衝撃の起訴「壁に刺さったナイフ」「複数の女性の性的画像」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)が“イギリス9都市をめぐる過激バスツアー”開催「どの都市が私を一番満たしてくれる?」
NEWSポストセブン
ドバイのアパートにて違法薬物所持の疑いで逮捕されたイギリス出身のミア・オブライエン容疑者(23)(寄付サイト『GoFundMe』より)
「性器に電気を流された」「監房に7人、レイプは日常茶飯事」ドバイ“地獄の刑務所”に収監されたイギリス人女性容疑者(23)の過酷な環境《アラビア語の裁判で終身刑》
NEWSポストセブン
Aさんの乳首や指を切断したなどとして逮捕、起訴された
「痛がるのを見るのが好き」恋人の指を切断した被告女性(23)の猟奇的素顔…検察が明かしたスマホ禁止、通帳没収の“心理的支配”
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
【七代目山口組へのカウントダウン】司忍組長、竹内照明若頭が夏休み返上…頻発する「臨時人事異動」 関係者が気を揉む「弘道会独占体制」への懸念
NEWSポストセブン