「舘が耳元で“マチャミ!”って声をかけると、マチャミがパッと目を見開いてみんなのことを目で追って、両腕を上げてバイクに乗るような仕草をしたんだ」
雅巳さんが亡くなったのは、翌日の正午過ぎのことだった。
「きっと、みんなが来るのを待ってたんだろう。おれが前に会った時は“元気になって、もう一度みんなで走りたい”って言っていたから」
通夜は、あたかもクールス再結集のようだった。岩城が疎遠になっていたメンバーにも声をかけ、17人の血判状メンバーのほとんどが顔をそろえた。黒い喪服姿の男たちは、口々に「おお、元気か」「あいつは死ぬやつじゃない」と言葉をもらした。
42年もの間、ぎくしゃくしていた舘と岩城も、まるで昨日もバイクで走り回っていたかのように、自然と声をかけ合う。肩を抱き合い、涙を流して早すぎる親友の死を悼んだ。
「クールスがバラバラになったのをいちばん悲しんでいたのが、マチャミだった。“舘と岩城をなんとか元に戻そうよ”ってよく言ってたんだよ。だから今回、通夜で2人が抱き合っているのを見た時は、マチャミのおかげだな、あいつ天国で喜んでるだろうなと思った。通夜の後は、“もう1回、みんなで集まろう”って話になってね」
水口さんは棺で眠る雅巳さんの髪をリーゼントにし、出棺される彼を見送った。
12月24日の舘のディナーショー。雅巳さんの遺影を持って後方の列で見守るつもりだった水口さんに、舘が「ステージで何曲か歌ってくれよ」と声をかけた。40年来のファンたちが号泣したという。
「翌日、舘が“楽しかったよ。またやろうよ”って電話してくれた。雅巳がつくってくれた再会を通じて、またみんなで何かできたらいいな」
※女性セブン2018年2月8日号