舘ひろしと男泣きの抱擁


「おれらが走ると他の暴走族もバイクで集まってきて一緒に流すんだよ。そのうちパトカーも追っかけてきて、そしたら蜘蛛の子を散らすように逃げる。表参道に歩行者天国ができたのは、おれたちのせいだっていわれてたね」

 クールスの名が一躍有名になったのは、1975年4月13日、日比谷野外音楽堂で行われた、矢沢永吉(68才)がリーダーを務める伝説のロックバンド「キャロル」の解散コンサートだった。熱狂するファンからキャロルを守る“親衛隊”を務めた彼らは脚光を浴び、レコード会社の誘いを受けてロックバンドとしてデビューすることが決まる。

 だが、それが舘と岩城の間に溝を生むことになる。

「滉ちゃん(岩城)は役者として東映から映画デビューが決まっていて、“なんとか他のメンバーも出られないか”って東映に掛け合ってくれていたらしい。でも舘は“バンドもやって、映画にも出たら、メンバーに驕りができてチームがまとまらなくなる”って心配したんだと思う。だから“バンドはやるけど、映画には出ない”って断りを入れた。滉ちゃんにしてみれば、“せっかく東映に話したのになんだよ”となった。その頃から、2人の気持ちにズレが出始めた」

 俳優として人気の出た岩城は黒い革ジャンを脱ぎ、舘も1977年4月に脱退して俳優の道に。クールスは継続したが、メンバーはバラバラになった。

「その後、メンバーで集まることは何度もあった。なにしろ血判を交わした仲だから、10年ぶりに会っても、一瞬で元の仲間に戻れる。だけど舘と滉ちゃんを一緒に呼ぶことはできなかった。みんな2人の関係に気を使っていたからね。でも、あの2人がそろわないと、クールスが戻ったとはいえないんだよ」

◆棺の彼をリーゼントに

 そんな2人の距離を縮めたのが、創設メンバーの1人、雅巳さんの急病だった。雅巳さんはもともと岩城が連れてきたメンバーで、チームの中でいちばん“ヤンチャ”な存在。舘のマネジャーをしていたこともあり、2人とは深い間柄だった。

 雅巳さんは昨年秋に心筋梗塞で倒れ、12月12日、危篤状態に陥ってしまう。

「マチャミの奥さんが医者に“親族を呼んだ方がいい”と言われた時、“メンバーとは、血縁以上に深い絆で結ばれているから”って、おれに電話してくれたんだよ。お見舞いに行ったら、マチャミは人工呼吸器をつけて、ほとんど昏睡状態で。病室を出てすぐに舘に連絡し、他のメンバーにも声をかけ、14日夕方に病院に集まった。その時、滉ちゃんは来られなかったけど、スケジュール調整してその前にお見舞いに行っていたみたい」

 奇しくも12月14日は、血判を押してクールスを結成したその翌日だった。

関連記事

トピックス

“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン