ちなみに、私は中学時代から大河小説が好きで、吉川英治の『新・平家物語』や子母沢寛の『勝海舟』とか『父子鷹』などを読んでいました。そうした作品を通して、日本人の血と肉となった文化や、伝統の世界に接していたのだと思います。古稀を迎えて「将軍の世紀」を書きたくなったのは、少年の頃から感じていた父祖たちの心と魂の呼び掛けに応えたいという動機があるからかもしれません。
【書籍紹介】
(1)「エセー」──ミシェル・ド・モンテーニュ著、1580年刊行、白水社/宮下志朗訳、全7巻、各巻本体2000円~2400円+税、他
(2)「知恵の七柱」──T.E.ロレンス著、1926年刊行、平凡社東洋文庫/J.ウィルソン編、田隅恒生訳、全5巻、各巻本体3000円~3200円+税
(3)「神皇正統記」──北畠親房著、1339年執筆、岩波文庫/岩佐正校注、本体780円+税、他
◆書籍データ中の刊行年(発表年)は最初の版のもの。版元、価格は現在入手できるおもな版のもの。
【PROFILE】やまうち・まさゆき/1947年北海道生まれ。東京大学名誉教授。ムハンマド5世大学(モロッコ)特別客員教授。サントリー学芸賞、毎日出版文化賞、吉野作造賞、司馬遼太郎賞など受賞歴多数。2006年紫綬褒章受章。近著に『悪の指導者(リーダー)論』(小学館新書、佐藤優氏との共著)。
※SAPIO 2018年1・2月号