芸能

鹿賀丈史 コメディで大事にしているのは心のリアリティ

鹿賀丈史が演じる上で心がけていることを語る

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、劇団四季を退団してしばらくは舞台から離れていた鹿賀丈史が、再び劇場に立ち、『レ・ミゼラブル』や新作『ラ・カージュ・オ・フォール』などを演じるなかで気づいたこと、心がけていることについて話した言葉を紹介する。

 * * *
 鹿賀丈史は劇団四季を退団後は舞台から離れていたが、1986年の『トーチソング・トリロジー』で復帰を果たしている。

「劇団を辞めて七年目、久しぶりの舞台で、しかもセリフの長い芝居でしたので不安はありました。でも、これで舞台の楽しさを思い出しました。それはやはりライブ感覚。ライブですから、同じようなことをやっているようで毎日微妙に違うんですよね。演じ方も、お客さんの反応も。何より僕の舞台を待ってくれているお客さんたちがいた。それが嬉しかったです」

 翌年に始まった『レ・ミゼラブル』では当初、主人公のジャン・バルジャンとそれを追うジャベールの二役を、それぞれ滝田栄と交代で演じている。

「ジャン・バルジャンが人生をやり直していこうという歌とジャベールがセーヌに飛び込んで死んでいく歌とが同じメロディなんです。つまり、善良で温厚なジャン・バルジャンに対して非情なジャベールという見方をされますが、実は表裏一体という描き方で。そこが素晴らしい。

 ジャベールは執拗に追いかける強さの持ち主です。ところが、最後はバルジャンの慈悲にあい、自分のやってきたことはなんだったんだろうと思い身を投げる。よく考えると根本的には弱い人間なんです。ですからただ強いだけでなく、その弱さや繊細さも出せるように工夫をしました。

 昨日僕がバルジャンで滝田さんがジャベールだったら、今日はそれが逆というようなこともありましたので滝田さんの芝居を意識することはありました。が、それは対抗意識というのではなく、二人で作っていこうという意識でした。僕は僕のやり方、滝田さんは滝田さんのやり方でいこうということで」

 新作の『ラ・カージュ・オ・フォール』もそうだが、鹿賀のミュージカルはロングランや何度も再演されることが多い。

関連キーワード

関連記事

トピックス

モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁/時事通信)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト