ビジネス

角界改革に大学教授が提案 「若手力士にFA制度を導入せよ」

組織としての透明性とガバナンスが求められる相撲協会

 不祥事続きで自浄能力のなさを露呈している日本相撲協会。2月2日に行われた理事選では新たな顔ぶれも加わり、組織の引き締めを図りたい考えだが、いまだ具体的な改革案も示されていない。“組織学者”として知られる同志社大学政策学部教授の太田肇氏は、「若手力士にFA制度を導入したらどうか」と提案する。

 * * *
 元横綱日馬富士の暴行事件をきっかけとして角界の不祥事が次々と明るみになり、世間をにぎわした。新たに大砂嵐の無免許事故が発生したり、貴乃花親方がマスコミで執行部への対抗姿勢を表明したりするなど、この問題はまだまだ尾を引きそうだ。

 一連の不祥事によって露呈されたのは、大相撲界がいかに闇に包まれた閉鎖的な世界かということ、そして相撲協会がガバナンス(統治能力)を欠いた組織だということである。

 問題の核心は、部屋と相撲協会の二本立てになった特殊な組織形態にあると考えられる。会社や役所なら上部組織は下部組織に対して命令し権限を行使できるが、大相撲の世界では相撲協会よりむしろ各部屋のほうが大きな力を持っている。その点では業者団体や農協などに近い。そのため相撲協会はガバナンスを発揮できないし、部屋という密室の中で起きた力士への暴力なども隠蔽されてしまうのである。

 したがって大相撲界の体質を変え、不祥事を防止するには、部屋制度というアンタッチャブルな領域に勇気を出してメスを入れる必要がある。

 部屋制度には長い歴史と伝統があり、それがあったからこそ親方は手塩にかけて弟子を育成した。まだ右も左もわからない15歳、16歳の子を一人前の社会人に育て、力士として出世させるには実の親と子のような関係が必要だっただろう。

 しかし一つ間違うと、それが裏目に出る。たとえば部屋・親方と弟子との相性がよくなかったときや、関係が悪化したとき、力士にとってはもちろん、部屋や親方にとっても不幸である。また各部屋が力士を囲い込んでいる以上、相撲協会も力士を指導や救済をするには限界がある。

 そこで、私は大相撲の世界にもプロ野球の世界のような「FA」(フリーエージェント)制度の導入を提案したい。一定の条件を備えた力士には、自ら他の部屋へ移籍することを認めるのである。

関連キーワード

関連記事

トピックス

左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
衆院広島5区の支部長に選出された今井健仁氏にトラブル(ホームページより)
【スクープ】自民広島5区新候補、東大卒弁護士が「イカサマM&A事件」で8000万円賠償を命じられていた
週刊ポスト
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏(=左。時事通信フォト)と望月衣塑子記者
山尾志桜里氏“公認取り消し問題”に望月衣塑子記者が国民民主党・玉木代表を猛批判「自分で出馬を誘っておいて、国民受けが良くないと即切り捨てる」
週刊ポスト
「〈ゆりかご〉出身の全員が、幸せを感じて生きられるのが理想です。」
「自分は捨てられたと思うのは簡単。でも…」赤ちゃんポスト第1号・宮津航一さん(21)が「ゆりかごは《子どもの捨て場所》じゃない」と思う“理由”
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談【第24回】現在70歳。自分は、人に何かを与えられる存在だったのか…これから私にできることはありますか?
週刊ポスト
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
NEWSポストセブン