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明治の「食」 アカガエルカレー、熱燗ビール、悪徳牛鍋

牛鍋は大流行した(資料提供/国立国会図書館)

 今年は明治維新150年。文明開化が訪れた明治の人たちはどんな生活を送っていたのか。西洋を飲み込んだ和洋折衷の「食」について紹介しよう。

●カレーライス
 カレーのレシピが初めて文献に登場したのは、明治5(1872)年出版の『西洋料理指南』。ネギ、ショウガ、鶏、アカガエル、鯛、カキなどを煮てカレー粉と小麦粉を加える調理法だった。

『おもしろ文明開化百一話』(ユニプラン)の著者・鳥越一朗氏は「軍隊や食堂に取り入れられて人気が広がり、明治後期にはカレーうどんも考案されました」と話す。カレー粉は輸入されていたが、明治38(1905)年、大阪の薬種問屋「大和屋」(現・ハチ食品)が日本初のカレー粉の製造販売を開始した。

●牛鍋
 文明開化で劇的に変わった日本人の食文化。明治初期に肉食が一般人の間でも始まり、東京に牛鍋屋が相次いで登場し、大流行した。「牛肉を食べる習慣がなかった日本人の口に、醤油と砂糖で煮る和風の味付けが合ったのでしょう。明治10(1877)年頃には東京府内の牛肉屋は500軒以上もあったようです」(鳥越氏)。牛肉より安価な馬肉を使っているにもかかわらず、「午肉」と看板に書いて客の錯覚を誘う悪徳店も出現した。

●アイスクリーム
 幕末に勝海舟の咸臨丸で渡米した町田房蔵が明治2(1869)年、横浜・馬車道通りに店を開き、「あいすくりん」の名称で製造販売したのが日本初。価格は1杯=金二分(当時の女工の給料半月分に相当)と、高嶺の花だった。『明治もののはじまり事典』(柏書房)の著者・湯本豪一氏によれば、「氷菓子と高利貸しをかけて、高利貸し業者を指す“アイス”という隠語も生まれた」という。

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