国内

古谷経衡氏 多摩川の岸辺で西部邁先生の死を思う

時代の「空気」と戦い続けた(時事通信フォト)

 1月21日、評論家・西部邁氏が逝去した。東大在学時代に六〇年安保に身を投じ、運動から離れるや、気鋭の経済学者として東大で教鞭を執った。その後、アカデミズムと決別し、在野の保守論客として活躍。安住を求めず、常に前提を疑った西部氏は、「自裁死」という最期を選んだ。保守ならずとも論壇に拡がった虚無感に対し、評論家・古谷経衡氏は何を思うか。

 * * *
 西部邁先生が多摩川で入水自殺されたというニュースは、2018年の劈頭(へきとう)、世間一般のみならず私を最も暗澹たる思いにさせた虚無の報であった。

 西部先生と私が最初に邂逅したのは五年以上前、某CS放送局での収録時である。雲の上の人であった。「あ、どうも…」と頭を下げるのがやっとだった。

 高校時代、同世代で熱病のごとく伝播していた小林よしのり氏の『ゴーマニズム宣言』ではじめて先生を知った私は、早速著書に手を伸ばしたが、文体が難しすぎてよく分からず、同じ「西」の付く西尾幹二氏の『国民の歴史』に切り替えたという過去があった。

 その後、つい最近TOKYO MXの番組に私が出演していたのを先生が聞かれ、関係者伝手に「古谷さんを褒めていましたよ」と聞き及び、飛び上がるほど嬉しかった。

 さすがに高校生から現在に至るまで私の読解力も進歩した。保守論壇の中では最早異色の「反米」を強く志向した先生の文体には魅了されていたが、正直私と西部先生の繋がりはこの程度の辺境でしか無い。

関連記事

トピックス

2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《不倫報道で沈黙続ける北島康介》元ボーカル妻が過ごす「いつも通りの日常」SNSで垣間見えた“現在の夫婦関係”
NEWSポストセブン
秋篠宮家の長男・悠仁さまの成年式が行われた(2025年9月6日、写真/宮内庁提供)
《凜々しきお姿》成年式に臨まれた悠仁さま 筑波大では「やどかり祭」でご友人とベビーカステラを販売、自転車で構内を移動する充実したキャンパスライフ
NEWSポストセブン
中途採用応募者が急に増えて担当者は困惑(写真提供/イメージマート)
《SNSの偽情報で実害》中途採用に「条件満たさない」応募者が激増した企業、勝手にFラン認定された大学は「少子化の中、学生に来てもらう努力を踏み躙られた」
NEWSポストセブン
趣里(左)の結婚発表に沈黙を貫く水谷豊(右=Getty Images)
趣里の結婚発表に沈黙を貫く水谷豊、父と娘の“絶妙な距離感” 周囲が気を揉む水谷監督映画での「初共演」への影響
週刊ポスト
日本復帰2戦目で初勝利を挙げたDeNAの藤浪晋太郎(時事通信フォト)
横浜DeNA・藤浪晋太郎を大事な局面で起用する三浦大輔監督のしたたかな戦略 相手ファンからブーイングを受ける“ヒール”がCSの行方を左右する
週刊ポスト
宮路拓馬・外務副大臣に“高額支出”の謎(時事通信フォト)
【スクープ】“石破首相の側近”宮路拓馬・外務副大臣が3年間で「地球24週分のガソリン代」を政治資金から支出 事務所は「政治活動にかかる経費」と主張
週刊ポスト
15人の大家族「うるしやま家」(公式HPより)
《ビッグダディと何が違う?》フジが深夜23時に“大家族モノ”を異例の6週連続放送 今、15人大家族「うるしやま家」が人気の背景 
NEWSポストセブン
自身のYouTubeで新居のルームツアー動画を公開した板野友美(YouTubeより)
《超高級バッグ90個ズラリ!》板野友美「家賃110万円マンション」「エルメス、シャネル」超絶な財力の源泉となった“経営するブランドのパワー” 専門家は「20~30代の支持」と指摘
NEWSポストセブン
高校ゴルフ界の名門・沖学園(福岡県博多区)の男子寮で起きた寮長による寮生らへの暴力行為が明らかになった(左上・HPより)
《お前ら今日中に殺すからな》ゴルフの名門・沖学園「解雇寮長の暴力事案」被害生徒の保護者らが告発、写真に残された“蹴り、殴打、首絞め”の傷跡と「仕置き部屋」の存在
NEWSポストセブン
濱田よしえ被告の凶行が明らかに(右は本人が2008年ごろ開設したHPより、現在削除済み、画像は一部編集部で加工しております)
「未成年の愛人を正常に戻すため、神のシステムを破壊する」占い師・濱田淑恵被告(63)が信者3人とともに入水自殺を決行した経緯【共謀した女性信者の公判で判明】
NEWSポストセブン
指定暴力団山口組総本部(時事通信フォト)
《外道の行い》六代目山口組が「特殊詐欺や闇バイト関与禁止」の厳守事項を通知した裏事情 ルールよりシノギを優先する現実“若いヤクザは仁義より金、任侠道は通じない”
NEWSポストセブン
志村けんさんが語っていた旅館への想い
《5年間空き家だった志村けんさんの豪邸が更地に》大手不動産会社に売却された土地の今後…実兄は「遺品は愛用していた帽子を持って帰っただけ」
NEWSポストセブン