スポーツ

にじみ出るシアトル愛 イチロー「心理的居場所」への帰還

シアトル・マリナーズに復帰のイチローの胸中(公式サイトより)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になった著名人をピックアップ。記者会見などでの表情や仕草から、その人物の深層心理を推察する「今週の顔」。今回は、マリナーズに復帰するイチローの会見に注目。

 * * *
「マリナーズのレジェンドが帰ってくる」

 アメリカ・メジャーリーグのシアトル・マリナーズは、イチロー選手が6年ぶりにチームに復帰することを、公式ツイッターでそう伝えた。

 レジェンドと称されたものの、会見では自分のことを「ケージの中で一番大きく育ってしまった犬」と表現し、チームが「優しく迎え入れてくれたような…」と話した。そんな言葉から透けて見えたのは、彼のマリナーズに対する愛情、シアトルへの思いではないだろうか。

 スーツ姿で会場に現れたイチローは、緊張した面持ちながら、マリナーズに戻ってきたことについて話し始めると、複雑な表情を見せた。

2012年7月、シアトルを離れたことについて触れたときは、そこで数秒間の間があいた。その後、少しずつ彼の表情が柔らかく、目も優しく変わっていく。続いた言葉は「僕の家はシアトルにあって」だった。シアトルのことを考え始めた瞬間から、表情が和らいで楽し気になり、頬が緩んでいったように見える。シアトルは彼にとって特別な場所、戻りたかったマリナーズの本拠地がある場所だ。

 そして「いずれ…」と口にしながら、片方の唇の端を一瞬、微妙に緊張させた。戻りたいという気持ちを、彼は心の中にずっと押さえこんでいたのだろう。ようやくその気持ちを口にすることができ、思いが実現したという感情の高まりと、そんな感情を見せまいとする心の葛藤が、口元の緊張になって表れたのではないだろうか。

 続けて「またこのユニフォームを着てプレーしたいという気持ちが、どこかに常にあった」と言いながら、身体を揺らし眉間や額にぐっと力を入れ、口元を歪めた。この仕草からも、シアトルから離れていた間、そんな思いとずっと葛藤していたのだろうと想像できる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
3大会連続の五輪出場
【闘病を乗り越えてパリ五輪出場決定】池江璃花子、強くなるために決断した“母の支え”との別れ
女性セブン
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン