制作サイドには、「自分が出演者になることで、100%思い通りの演出ができる」というメリットもあります。「タレントに演出意図を説明する手間がなく、伝わらないもどかしさもない」「複数のパターンを気兼ねなく撮影しておける」「多少危険なことをやっても自己責任のため批判されにくいだろう」。帰国後の編集作業を考えながら撮影できるのは、ディレクターにとって大きなメリットなのです。

 また、『陸海空 地球征服するなんて』のナスDさん、『笑ってコラえて!』のコマツバーラさんのように、タレント同様の人気や知名度を得るディレクターが増えているのも事実。テレビ業界では、旅番組に限らず「ディレクターが人気者になった番組は長続きしやすい」と言われているだけに、確信犯的にその状態を狙っているというケースもあります。

 一方、視聴者サイドのメリットは、現地の人々や生活をダイレクトに感じられること。ディレクターが旅することで自分に置き替えやすいほか、タレントのキャラクターやボケなどに邪魔されることもないため、必然的にドキュメント性が高くなるのです。

 タレントではなく、現地の人々や生活にしっかりスポットを当てられるほか、多少のハプニングやアクシデントくらいではカメラを止めません。だから、希少性の高い映像を撮るためにギリギリまで粘れますし、それを見た視聴者は「どうなるんだろう」「大丈夫かな」などとハラハラドキドキするのです。

◆『めちゃイケ』と大きく異なる視聴者層に不安

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