国公立大の前期試験の合格発表が終わり、今年の入試も峠を超えた。そんな中、最難関の東大、京大の高校別合格者にちょっとした異変が起きた。名門校の復活がはっきりしてきたのだ。
3月16日現在、東大トップは開成(東京)の173人で、37年連続トップだった。3位の麻布(東京)が今年東大トップの伸びで17人増の96人合格。麻布は戦後の東大合格者トップ10にずっとランクインしている名門だ。
また、1960年代、東大合格者数トップを続けていた東京都立の日比谷が今年は47人合格で、1970年の5位以来、じつに48年ぶりにトップ10入りを果たした。東京では高校入試で学区がなくなり、希望する高校をどこでも受験できるようになり、日比谷の人気がアップした。
さらに、日比谷は進学指導重点校に指定され、大学受験に力を入れるようになり、かつての勢いを取り戻しつつある。トップ10は国立、私立の中高一貫校が26年間、独占してきたが、それに風穴を開けることになった。このように、名門校の復活が今年の特徴だ。
東大のランキングでは、今年も中高一貫校が強かった。栄光学園(神奈川)が15人増の77人、桜蔭(東京)が11人増の74人など。桜蔭はトップテン唯一の女子校だが、日本最難関の理IIIに8人も合格し、灘、開成に次ぐ3位だった。今年は理III合格者の入試の平均点が、理IIの最高点を上回るほどハイレベルな入試だった。
他でも浅野(神奈川)が10人増の42人、本郷(東京)が7人増の17人合格で、両校とも過去最高の合格者数だ。富山唯一の中高一貫校の片山学園は3人合格だが、そのうち2人が理III合格だ。
また、東京の公立中高一貫校の伸びも目立つ。武蔵・都立は6人から13人合格で、東京の公立一貫校トップとなった。白鴎は昨年のゼロから6人合格、桜修館中教も2人から5人に合格者を増やした。
今年、中高一貫校となって初めて卒業生を送り出した横浜市立南は5人合格だ。文科省のスーパーグローバルハイスクールに選定され、グローバルリーダーの育成に力を入れている。学校関係者は「1期生は中3の時に英検準2級を86%が獲得し表彰されたほどでした。中学の偏差値も上がっており、さらに伸びると思います」と言う。
鹿児島の公立中高一貫校の楠隼(なんしゅん)は今年、初めて高校からの入学者が卒業した。32人の卒業生のうち2人が東大合格。公立初の全寮制の男子校で、JAXA(宇宙航空開発機構)と宇宙航空教育活動に関して協定を結び、推進モデル校となっている。公立校では珍しく県外からの進学者も多い。