国内

「芸能人Xの薬物疑惑」まとめサイト管理人を直撃してみたら

「まとめサイト」管理人に聞いてみた

 気心の知れた人たちだけがいる場所で、テレビを見ながら有名人について、根拠がない噂話をするのは自由だ。だが、それをネット空間へ文字にして放出する行為は自由ではない。名誉毀損や業務妨害などの罪に問われ、フェイクニュースをまき散らす悪質行為だ。にもかかわらず、真贋のあやしい情報ばかりを載せた悪質な「まとめサイト」は増えるばかりだ。ライターの森鷹久氏が、そのまとめサイト管理人のひとりに、なぜ「まとめサイト」を始めたのかについて聞いた。

 * * *
「芸能人Xはシャブ中! その噂の真相とは?!」

 筆者がとある芸能人・Xの名前でネット検索しようとしたところ、Xの所属事務所が開設したホームページやX自身のツイッターやインスタグラムといった公式アカウント、ウィキペディアページのすぐ下に、このような文言とURLがヒットした。ネットを利用するみなさんならご存知だろうし、ネット検索の「あるある」話だが、いわゆる「まとめサイト」と呼ばれる類のページである。

「まとめサイト」とは、ネット上にある情報をひとつのテーマのもとに集めて提示しているページのことだ。巨大掲示板「2ちゃんねる」(現・5ちゃんねる)を読みやすいように抽出してまとめたものが人気を集め、以後は、掲示板のまとめだけでなく、多岐にわたる情報に関するまとめサイトが乱立している。

 まとめサイトに関しては、著作権を侵害している、嘘情報を蔓延させている、などの指摘が相次いでおり、いわゆる”フェイクニュース”がはびこる原因とも言われている。誹謗中傷を広めているまとめサイトの特徴は、ネット上に散乱している真偽不明の情報を集めて切り貼りし、いかにもニュースであるかのように”それっぽく”まとめあげて、一つの記事としてサイトで公開している、というものだ。これらまとめサイトには多数の広告が貼り出されていたり、最近ではサイト閲覧者のパソコンを密かにのっとって仮想通貨の「マイニング(採掘)」をさせるなどして、収益を出している。

 つまり、サイト来訪者が多ければ多いほど金が儲かるので、人を呼び込む為には、情報の真偽などは重要視されず、できるだけ注目されそうなタイトルをつければ良い、といった傾向が、まとめサイトの多くに見受けられる。

 さて、冒頭で紹介した芸能人Xの薬物中毒疑惑について書かれていたまとめサイトだが、記事自体は2016年に執筆されたもののようだった。中身に関しても御多分に漏れず「……といわれている」「……とネット上で噂に」といったテイストで記事が執筆されているが「芸能人Xが覚せい剤中毒であるという事はある程度濃厚」などとまとめられている。筆者は、このまとめサイトの管理人を割り出し、なぜそのような記事を執筆し公開したのかについて聞いた。

 管理人の「割り出し」といっても、作業は単純なもので、まとめサイトのドメイン所有者情報を調べただけ。

 ドメインとはインターネット上の住所にあたるもので、オリジナルのホームページをつくるなら、必ずドメインを取得することになる。この登録された所有者情報は一般に閲覧できるようになっているため、知られたくないとドメイン取得を代行業者へ依頼したり、情報を隠すのが今では一般的だ。そのため、ドメイン所有者情報からサイト所有者にたどりつきにくくなっているが、稀に住所や氏名、携帯番号までがわかる場合がある。問題のサイト管理人の連絡先は、このプロセスで全て入手ができたが、それだけではなかった。

 ドメイン情報では氏名がアルファベットで記載されていたが、その氏名をあてずっぽうに漢字変換し検索すると、当該人物のものであろうと思われるフェイスブックやインスタグラム、ミクシィやブログに簡単にたどり着いた。そこでプロフィールとして表示されている居住地や出身地、卒業高校などの情報、そして子供の写真や日々の日記などを総合すると、ドメイン所有者の住所に居住していても不思議はない。SNSの人物とサイト管理人が同一人物である可能性が極めて高いと結論づけられた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
すき家がネズミ混入を認める(左・時事通信フォト、右・イメージ 写真はいずれも当該の店舗、販売されている味噌汁ではありません)
《「すき家」ネズミ混入味噌汁その後》「また同じようなトラブルが起きるのでは…」と現役クルーが懸念する理由 広報担当者は「売上は前年を上回る水準で推移」と回答
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン