梨花女子大だけではない。昨年5月22日には同じソウルの高麗大学で、やはり創設者の銅像を撤去しろという騒ぎが起こった。銅像の人物は日刊紙「東亜日報」の設立者でもある金性洙で、戦後1951年5月から翌年2月まで李承晩政権で副大統領を務めた大物だ。しかし昨年4月、最高裁で“親日派”認定判決が下された。
これを受けて同大学生会が銅像の撤去を主張。さらに、全国各地にある金性洙記念施設の撤去や、本人が受けた建国勲章の剥奪までも要求した。
韓国の学生がもはやこの世にいない韓国近代化の貢献者まで「親日派」として糾弾する背景には、盧武鉉政権時代の2005~2006年に制定された二つの法律の存在がある。「日帝強占下反民族行為真相糾明に関する特別法」と「親日反民族行為者財産の国家帰属に関する特別法」だ。これらは連動しており、簡単に言えば、戦前の日本による韓国統治に協力した人物を親日派と断定し、その名前を『親日人名辞典』に記載、日本統治時代に蓄財した財産を国家が没収するというものである。
※SAPIO2018年3・4月号