花見で花を愛でるより、団子を食べる方がいい━━。いわゆる「花より団子」気風は古くからあった。室町時代末期の俳諧『犬筑波集』にも「花よりだんごとたれか岩つつじ」と詠まれ、江戸時代にはさまざまなところで「花より団子」は用いられたという。
江戸時代末期にはさらにひとひねりした「花の下より鼻の下(鼻の下は口。つまり食べる物の意)」という言い回しも生まれた。
一般に日本人は礼儀正しく慎ましやかだと言われる。だが一方で実は怠惰で享楽的なのではないかという見方もある。どちらかが一義的に正しいというわけでもないだろう。ただしこの100年ほどの花見事情を調べるほどに、日本人は元来享楽的な民族なのではないかと考えてしまう。