「リーダーの説明会やミーティング時間は1回につき2~3時間。それを数回と、スキルアップ講習会として、救命講習や車いす対応講習、手話筆談講習などがあります。必須ではないのですが、希望者は多く倍率が高いです」(山本さん)

 ボランティア、リーダーの意識の高さの表れは、熱心な講習への参加だけではない。

「本番前に自主的に下見されるボランティアのかたは多いんです。リーダー同士で情報交換しあっているかたもいます。また、大会後にはリーダーに報告書の提出を必須としていて改善点などを書いてもらい、リーダーサポートには振り返りの会に参加してもらいます。そこで出た反省点などを、次大会の配置場所や人数、活動内容に生かしているんです」(山本さん)

 スタート当初から海外ランナーの姿はあったが、2012年に世界最高峰シリーズ「アボット・ワールドマラソンメジャーズ(AWMM)」に加入以降、その数は急増。2014大会では言語が通じず困るランナーも多かった。

「AWMMに加入した翌年の2013年に2020年の五輪招致が決まり、そのことも追い風となって2014大会には海外からの参加が非常に多かった。現場での混乱も生じ、東京外国語大学などとも協力しつつ2015年に多言語対応メンバーの募集を開始しました。今では欠かせない存在です」(山本さん)

 多言語対応メンバーは基本的に、ランナーがとどまるスタート会場やフィニッシュ地点に配置されているというが、それ以外の場所でも工夫がある。

「海外のランナーが増えるということは当然沿道で応援される海外のかたもいるでしょう。沿道に立つボランティアメンバーにもある程度の会話が可能な場合、対応可能な言語のシールを貼ってアピールし、道案内などに対応しています」(山本さん)

◆ランナーや観戦者だけでない すべての人への「おもてなし」を

 都市型マラソンでは、大会に参加していなくとも“参加できてしまう”ことがメリットでもあり、デメリットにもなる。何も知らずに銀座を訪れたら交通規制で道が通れない、行きたいお店も大混雑、など大会の影響を受けてしまうからだ。

「大会当初からボランティアメンバーにお願いしているのは、温かい気持ちと笑顔です。2017大会からはコースが変わり、フィニッシュが東京駅になってからは、そうしたおもてなしを一般のかたにも忘れずにしてほしいと強く伝えました。ランナーだけを見ていては、発展しないと考えています」(山本さん)

※女性セブン2018年4月12日号

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