◆山間部で鮮魚
国道153号線バイパスに面して一昨年にオープンしたばかり。「道の駅」といえば、ドライブ旅行客向けのお土産などが売られている場所というイメージが強いが、ここでは鮮魚や地元産野菜といった生鮮食料品のほか、洗剤などの日用雑貨も並ぶ。
2000メートルを超える山々に囲まれた伊那谷に位置する飯島町は人口9000人あまり。それなのに町内には生鮮食料品を販売する店はスーパーが2つあるだけ。しかも田切地区にはないため、多くの買い物弱者を抱えていた。「道の駅田切の里」の運営会社で副社長を務める下島修氏が語る。
「バイパス建設の計画に合わせて、何か田切地区のために役に立つことができないかということで道の駅が作られました。しかし設置に際して住民にアンケートを取ると、“生鮮食料品を扱ってほしい”という、一般的な『道の駅』の用途とは違うものを望む声が多かったのです」
近隣に住む女性は、「これまでこの地区にはスーパーがなかったから、生鮮食料品を買うのに不便でした。ここは道の駅なのに鮮魚や野菜も買えて助かります」と喜びの声を上げた。さらに、町内には高齢化で運転免許を返納する高齢者も多い。そのため、移動手段がない住民に向けた移動販売車も週4回巡回している。
さらに、電話一本で希望の商品を自宅まで届けてくれる買い物代行サービスもある。多い日で50人の住民が利用しているという。
この道の駅の運営に深く関わっているのが、地元のJA上伊那だ。運営会社への出資に加え、立ち上げの企画段階から関わり、初代社長やマネージャーはJAのOBだという。店舗に並ぶ野菜や魚介類、移動販売車に積む日用品はJA直営のスーパーを通して供給されている。