福田氏に引導を渡したのは二階氏と井上義久・公明党幹事長の「ケジメをつけろ」の辞任勧告であり、麻生氏もそれを受け入れた。二階氏が福田更迭を強く迫ったのは、安倍―麻生連合を潰して総裁選の主導権を与えないようにする政治的狙いがあったとみれば党内で権力闘争が始まっていることがよくわかる。政治評論家の小林吉弥氏が語る。
「二階氏は幹事長として政権ではなく党を守る立場、来年の統一地方選と参院選に負けるわけにはいかない。
公明党も安倍政権と心中する気は無い。日米首脳会談後の内閣支持率を見て、“安倍では来年の選挙を戦えない”と、二階氏が読めば公明党と組んで安倍降ろしに動き出す可能性は十分あります。その前に福田更迭で麻生氏と安倍首相の盟友関係に亀裂を与えるという布石を打ったのではないか」
自民党内では、安倍首相にかわって政権スキャンダルの“汚れ役”を引き受け、批判の盾となってきた麻生氏の辞任が、政権崩壊への「最後の引き金」となることはみんなわかっている。
麻生氏自身、盟友関係が終われば首相に遠慮することなく、総裁選でフリーハンドを持つことができる。だからこそ、党内は麻生辞任のタイミングを注目している。
5月の大型連休が終われば国会会期は残り1か月あまりだが、自民党では水面下で安倍降ろしに向けた動きが進んでいる。秋の総裁選に向けて各派が新たな覇権を奪い合う「自民党120日抗争」がいよいよ始まる。
※週刊ポスト2018年5月4・11日号