イオンは、同業他社に比べて地方や郊外に店舗を持つ比率が高い。地方や郊外では当然、大都市部に比べると商業施設の密度が落ち、住民の高齢化も進んでいることが多く、そうなるとキャッシュアウトのようなサービスは必要というわけだ。レジでの混雑緩和には逆行して手間暇もかかるものの、イオンでは当面、レジで現金を引き出すサービスに手数料を課すことはないという。
最近はマイナス金利の余波で収益が厳しくなった銀行も増えており、コンビニ等にあるATMから現金を引き出す場合、引き出し手数料の無料回数を減らしている銀行が増えている。そういう意味では、イオンのレジでの現金引き出しが現状のまま無料なら、確かに今後も需要はありそうだ。
しかもサービスカウンター内のレジに限定し、通常のレジでは現金引き出しサービスは行っていない。また現金払いオンリーの人に比べ、レジでの引き出しにはデビットカードが必須であることから、結果的にデビットカード利用へ誘導していく機会にもなるとする向きもある。
そう考えれば、イオンを皮切りにキャッシュレス化とレジでのキャッシュアウトという“二刀流”の実施企業がこれから増えていきそうで、キャッシュレスに慣れた若年層はともかく、シニア層以上にはまだまだ二刀流が効きそうだ。
●文/河野圭祐(ジャーナリスト)