中国の都市部では高級車人気が高まっている
そんな大きくて立派な「ES」ですが、その実、お値段は、とてもお手頃。なんと中国ではミドルモデルの「GS」どころか、コンパクトな「IS」よりも安いのです。
また、中国はエンジン排気量が2リッターを超えると税金が高くなります。そのため2リッター以下が当然、たくさん売れます。そしてレクサス「ES」には、2リッター・エンジンが用意されています。そのため、中国で売れる「ES」の6割ほどが2リッター・モデルとか。あんなに大きなクルマなのに、エンジンは2リッターというのには驚かされます。
この「大きくて立派に見える」「室内が広い」「でも、お値段がお手頃」「税金も安い」という部分が中国人には大いに受けるのです。こうした中国のニーズに応えるために、ドイツ・メーカーは、ボディを伸ばした中国モデルを投入しています。たとえばアウディのセダンである「A4」「A6」「A8」は「A4L」「A6L」「A8L」と「L」の字が加えられ、ボディが長いことが強調されています。
ちなみに、ボディに対して相対的にエンジンが小さいためか、「ES」の走りの評価は、それほど高くありません。ただし、「乗り心地がいい」「快適」という面の評判は上々です。個人的には、ドイツのプレミアム・ブランドに対抗して走りの良さに力点を置くのではなく、「乗り心地の良さ」や「室内の広さ」という別の価値観で勝負するのも、それはそれでアリだなと思います。
しかし、レクサス「ES」の開発者は、さらに高いレベルで戦いたいようで、新型「ES」は新型プラットフォームの採用などで、「乗り心地と快適性をそのままに、走りの面を磨いきました。ハンドル操作に対するクルマの動きの遅れを減らし、荒れた道でも破綻しないようなものを目指した」と説明します。
完成度を増した「ES」は、中国市場でも手堅く売れるでしょう。ただし、最近の中国のトレンドはSUVと電動化モデル。将来的には「ES」も、その流れに乗ってプラグインハイブリッド・モデルが登場するかもしれません。
どちらにせよ、レクサス「ES」は、世界で最も売れているレクサスです。世界が認めるレクサスの日本への凱旋は、この秋。楽しみに待ちましょう。
