国内

カジノ3か所開設 横浜、大阪、長崎、沖縄の椅子取りゲーム

カジノ構想で醜い争いが…(時事通信フォト)

 通常国会は6月20日の会期末まで1か月余りとなった。だが、安倍政権は役所のスキャンダルで集中砲火を浴び、国会が空転したため働き方改革法案やカジノ実施法案など重要法案をほとんど成立させていない。自民党国対のベテランは「これは非常事態」と語る。

「衆参で圧倒的勢力を持っている政権が、予算以外の重要法案を1本も成立させることができなければ終わりだ。与党内でもはや法案を通す力がないとみられて一気に求心力を失い、安倍さんは総裁3選どころではなくなる。かと言ってあと1か月で与野党対決法案を上げるのは日程的に難しい」

 そこで官邸も与党も“本気”になった。加計学園関係者との官邸会談を「記憶にない」と“健忘症”になっていた柳瀬唯夫・元首相秘書官に記憶を突然蘇らさせるという“荒治療”を施して国会で証言させ、なりふり構わず野党を審議に復帰させた。重要法案の審議を再開して駆け込みで成立させようと躍起になっている。しかし、それは安倍首相のためではない。

 政権を支えてきた実力者や首相側近たちは、安倍政権が終わる前に自分たちが推進してきた政策に実現の道筋を付けて利権の果実を手にしておきたいようだ。

 その代表格がカジノ実施法案である。「日本での賭博解禁は法制度上無理がある」(法学者)と言われながら、安倍政権は足かけ5年でカジノ推進法などの法整備を進めてきた。今回の国会空転のさなかにも、自民党は公明党と「全国にカジノ3か所開設」で合意し、安倍首相が中東外遊に出る直前(4月27日)にバタバタと閣議決定してカジノ開設の総仕上げとなる実施法案を国会に提出した。超党派のカジノ議連の幹部は「3か所」という数字に重要な意味があると読む。

「有力候補地は一番のカジノ推進派である菅義偉・官房長官の地元・横浜、総理に近い維新の松井一郎・大阪府知事が誘致の旗を振る大阪の夢洲(ゆめしま)、麻生太郎・副総理の実弟が会長を務める九州経済連合会が積極的な長崎ハウステンボスとみられていたが、ここにきて二階俊博・幹事長が沖縄でのカジノ開設に前向きとされ、争奪戦になってきた」

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン