国内

「いつか死ぬのであれば死ねる喜び感じたい」と在宅医療医師

在宅医療の第一人者、小笠原医師が疑問・質問に回答

 在宅医療の第一人者・小笠原文雄医師が記した『なんとめでたいご臨終』(小学館。1512円)が発売から1年経とうとする今も売れ続けるロングセラーとなっている。著者の小笠原さんに対し、本書を読み、考えが変わった、驚いたという声が医療に携わる人からも上がっている。

「病院で看てきたかた、在宅にいらしたかた、介護施設のかた、いろいろなかたがたと出会ってきましたが、先生のような笑顔のご家族さまとお目にかかったことはありません。大変勉強になりました」(埼玉・49才女性・看護師)

「私も在宅ホスピス緩和ケアに携わりたいと思いました。親や自分が死を迎える時には、自宅で笑顔で死ねることを願っています」(茨城・56才女性・看護師)

 本書にある「緊急退院」についてはこんな驚きの声が。

「緊急退院が可能なんだと思い知らされました。最期は家で看取りたいと希望があった場合も、ケアマネジャー、訪問看護師、往診のドクター、ヘルパーと連絡を取っているうちに1週間経ち、間に合わなかったケースもありました。また、ずっと在宅で頑張ってきたのに、最期は病院に搬送されるケースも多く、そういう場合、患者さんは家に帰りたいと帰宅願望が強いです」(東京・54才女性・看護師)

 緊急退院とは小笠原さんの造語で、すぐに退院すること。「家に帰りたい」と望む患者の中には、余命宣告を受け、いつ亡くなるかわからない人も多い。逡巡する間に手遅れになることも多いのだ。小笠原さんはこう語る。

「病院の医師の中には、まだまだすべての面で在宅よりも病院の方が上だと思って、病気によっては在宅の方がいい場合もあることを知らない人も多いのです。しかし実際には、自宅に帰った方が余命が延びることも数多くあります。

 だからこそ私は、病院と連携を取り、即日退院ができるようにしていますし、患者さんの希望が叶えられるよう、ご家族のかたにも、慌てて救急車を呼んだりしないようにしっかりと説明しています」

 大切な家族の「家に帰りたい」という最期の希望を叶えられなかった後悔から、「この本をもっと早く読みたかった」という声も多数届いている。

「母が生きているうちに読みたかったです。医療の支え方が大きいと感じました。周りの人に薦めています」(広島・68才女性)

「父を病院のホスピスで見送ったので自分の中に後悔があった。この本を読んでもっと早く知っていれば、自宅で愛犬と穏やかに過ごせる日々があったはずだと申し訳なく思ってしまう」(岐阜・53才女性)

 小笠原さんは言う。

関連キーワード

関連記事

トピックス

11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《中国とASEAN諸国との関係に楔を打つ第一歩》愛子さま、初の海外公務「ラオス訪問」に秘められていた外交戦略
週刊ポスト
グラビア界の「きれいなお姉さん」として確固たる地位を固めた斉藤里奈
「グラビアに抵抗あり」でも初挑戦で「現場の熱量に驚愕」 元ミスマガ・斉藤里奈が努力でつかんだ「声のお仕事」
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
日本体育大学は2026年正月2日・3日に78年連続78回目の箱根駅伝を走る(写真は2025年正月の復路ゴール。撮影/黒石あみ<小学館>)
箱根駅伝「78年連続」本戦出場を決めた日体大の“黄金期”を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈1〉「ちくしょう」と思った8区の区間記録は15年間破られなかった
週刊ポスト
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
地元コーヒーイベントで伊東市前市長・田久保真紀氏は何をしていたのか(時事通信フォト)
《シークレットゲストとして登場》伊東市前市長・田久保真紀氏、市長選出馬表明直後に地元コーヒーイベントで「田久保まきオリジナルブレンド」を“手売り”の思惑
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
26日午後、香港の高層集合住宅で火災が発生した(時事通信フォト)
《日本のタワマンは大丈夫か?》香港・高層マンション大規模火災で80人超が死亡、住民からあがっていた「タバコの不始末」懸念する声【日本での発生リスクを専門家が解説】
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
NEWSポストセブン