さらに、「送骨」なるサービスを手がける寺院もある。利用者は宅配便を使って、遺骨の入った骨壺を寺院に送り、供養してもらう。遺骨は個別、あるいは合同で納骨堂や永代供養墓に収められる。永代供養付きで3万~5万円が相場である。
合理的とも、バチ当たりとも思えるこの送骨サービス。だが、この葬送を選ぶ人の理由を聞けば、多少は納得できるかもしれない。
例えば足腰が不自由になって、伴侶の遺骨を菩提寺に運べないというケース。あるいは、遠い親戚の遺骨が回り回ってきて、埋葬先に困惑するケース。また、生活困窮者の受け皿としても利用されている。
とにかく葬送は簡素に、カネをかけずに、というのが最近の潮流だ。だが、ネット上では一部、誤った情報も流れている。
ひとつは「ゼロ円葬」と言われるもの。これは喪主が生活保護を受けている、あるいは身寄りのない故人にかわって、国が最低限の「送り」をしてくれることを指す。「生活保護を受ければ行政がタダで葬式をやってくれる」と誤解している人もいるようだが、それは事実ではない(注1)。
【注1/生活保護法第18条は、「遺体の運搬」や「火葬」「埋葬」などに限って保護を受けられることを規定している。したがって、原則的には通夜・葬儀・告別式・戒名授与など、きちんとした「弔い」は含まれない。】