ライフ

昔の歯科治療の恐怖 日本人の口内に潜む“時限爆弾”

銀歯を割ると、その下で虫歯が広がっていた

 銀歯にインプラント、部分入れ歯やブリッジ……中高年では、口の中に“治療”した歯が1本もない人のほうが珍しいだろう。ただ、“治療”したはずの歯が、さらに大きな問題の原因となることが少なくない。口腔内の問題は、放置すると全身疾患につながっていくこともある。『やってはいけない歯科治療』著者で、“歯科業界に最も嫌われるジャーナリスト”の異名を取る岩澤倫彦氏が患者に知らされてこなかった重大リスクをレポートする。

 * * *
 昭和生まれの中高年世代にとって、虫歯治療といえば「銀歯」。だが、過去に入れた「銀歯」の多くが手抜き治療だったため、いまになって虫歯の再発や歯周病が次々と起きている。治療現場で、筆者はその現実を目の当たりにした──。

 50代の患者の奥歯を見て、元歯科大学講師の歯科医は苦々しい表情を浮かべた。歯に冠された銀歯が、まるでキノコの傘のような形状になっていたからだ。こんな治療ではプラーク(細菌の塊)が溜まって、虫歯や歯周病になりやすい。

 大学の授業では「やってはいけない治療」と教えてきた悪例だが、このような銀歯は珍しくないという。

 歯科医が銀歯を真っ二つに割ってみると、中では虫歯が再発していた(画像参照)。患者に聞くと、特別な痛みは感じていなかったという。スキルの高い歯科医に、ズサンな銀歯を見抜いてもらっていなかったら、虫歯が深く進行して“抜歯”になっていた可能性が高い。

 歯科業界には、他の歯医者の手抜きを指摘しないという不文律がある。だから私たち患者は、手抜き銀歯が蔓延していることを知らなかったのだ。こうした手抜き銀歯は、歯を失う“負の連鎖”をスタートさせていた。東京医科歯科大学の田上順次副学長が指摘する。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平の投手復帰が待ち望まれている状況だが…
大谷翔平「二刀流復活でもドジャースV逸」の悲劇を防ぐカギは“7月末トレード” 最悪のシナリオは「中途半端な形で二刀流本格復活」
週刊ポスト
フランスが誇る国民的俳優だったジェラール・ドパルデュー被告(EPA=時事)
「おい、俺の大きな日傘に触ってみろ」仏・国民的俳優ジェラール・ドパルデュー被告の“卑猥な言葉、痴漢、強姦…”を女性20人以上が告発《裁判で禁錮1年6か月の判決》
NEWSポストセブン
ホームランを放った後に、“デコルテポーズ”をキメる大谷(写真/AFLO)
《ベンチでおもむろにパシャパシャ》大谷翔平が試合中に使う美容液は1本1万7000円 パフォーマンス向上のために始めた肌ケア…今ではきめ細かい美肌が代名詞に
女性セブン
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
告発文に掲載されていたBさんの写真。はだけた胸元には社員証がはっきりと写っていた
「深夜に観光名所で露出…」地方メディアを揺るがす「幹部のわいせつ告発文」騒動、当事者はすでに退職 直撃に明かした“事情”
NEWSポストセブン
“進次郎劇場”で自民党への逆風は止まったか
《進次郎劇場で支持率反転》自民党内に高まる「衆参ダブル選挙をやれば勝てる」の声 自民党の参院選情勢調査では与党で61議席、過半数を12議席上回る予測
週刊ポスト
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
「生肉からの混入はあり得ないとの回答を得た」“ウジ虫混入ラーメン”騒動、来来亭が調査結果を公表…虫の特定には至らず
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談【第24回】現在70歳。自分は、人に何かを与えられる存在だったのか…これから私にできることはありますか?
週刊ポスト