「“予防拡大”という100年以上前に確立された、虫歯治療の基本原則があるからです。これは二次カリエスを予防するため、虫歯になりそうな健康な歯の溝などを、あらかじめ削って金属に替える考え方です。歯ブラシが届かず、プラークが溜まりやすそうな部分を削って、金属面にする。言うなれば、転ばぬ先の杖。
でも、これは大きなお世話だったと近年になって分かりました。金属部分は虫歯になりませんが、大きく削ってしまうと、歯の寿命は短くなるからです」
必要もないのに大きく削って、手抜きの銀歯がかぶせられ、虫歯が再発するとさらに削られる。患者は“歯医者で治療してもらった”と思っていても、その実は歯の寿命を縮めていた可能性が高いのだ。
※週刊ポスト2018年6月8日号