ビジネス

後ろ倒しも失敗した夏のバーゲンセール、いまだ迷走中

夏冬2回の季節限定バーゲンは時代遅れか

 百貨店などを中心に間もなく始まる夏のバーゲンセール。もともと夏本番の7月中旬よりスタートするのが恒例だったが、年々フライングする商業施設も相次ぎ6月下旬まで早まった。近年は三越伊勢丹ホールディングスやルミネが開始日の“後ろ倒し”を行うなど正常化を図ったが、目立った効果は見られない。そもそも、夏特定のバーゲンは必要なのか。ファッションジャーナリストの南充浩氏が解説する。

 * * *
 ファッションに多少なりとも関心のある人にとっては、夏と冬のバーゲンセールは待ち遠しいイベントの一つではないかと思う。1970年代・1980年代のバーゲンセールをご存知の方からすると、バーゲンセールの開始時期は年々早まっていると感じられるのではないかと思うが、その通りである。

 バーゲンの開始時期が早まった理由は様々あるが、一つには1997年以降の衣料品の消費不振がある。それまでのようには売れにくくなり、バーゲンでも売り切ることができなかったため、不良在庫が増えた。その在庫を売りさばくために、バーゲンでの値引き率を高め、バーゲン期間を長くする。できればバーゲン開始時期も早めたい。背に腹は代えられないというわけだ。

 だから2005年ごろからバーゲン開始時期は如実に早まった。1980年代のDCブランドブーム華やかなりし頃は、夏のバーゲンは7月20日くらいから、冬のバーゲンは1月20日くらいからだった。

 それが今では夏のバーゲンは6月下旬から、冬のバーゲンは元旦から、というのが標準となっている。体感気温でいうなら、6月下旬はまだ梅雨真っ最中で、蒸し暑い日が多いものの、梅雨寒という言葉もあるくらいヒンヤリする日もある。元旦はこれから寒さが増すタイミングである。

 このため、季節商品がこれから本格的な需要を迎える前にバーゲンで売るのはどうなのかという議論が衣料品業界にはあった。さらにいうと、バーゲンを早めることで衣料品業界は定価で売る時期を自ら短縮し続けて、企業の収益性を低下させ続けてきた。それによってワールドやTSIホールディングス(サンエーインターナショナルと東京スタイルの合併会社)、三陽商会などかつての大手アパレル各社は経営を悪化させてきた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

9月6日に成年式を迎え、成年皇族としての公務を本格的に開始した秋篠宮家の長男・悠仁さま(時事通信フォト)
スマッシュ「球速200キロ超え」も!? 悠仁さまと同じバドミントンサークルの学生が「球が速くなっていて驚いた」と証言
週刊ポスト
ソウル五輪・シンクロナイズドスイミング(現アーティスティックスイミング=AS)銅メダリストの小谷実可子
《顔出し解禁の愛娘は人気ドラマ出演女優》59歳の小谷実可子が見せた白水着の筋肉美、「生涯現役」の元メダリストが描く親子の夢
NEWSポストセブン
ドラマ『金田一少年の事件簿』などで活躍した古尾谷雅人さん(享年45)
「なんでアイドルと共演しなきゃいけないんだ」『金田一少年の事件簿』で存在感の俳優・古尾谷雅人さん、役者の長男が明かした亡き父の素顔「酔うと荒れるように…」
NEWSポストセブン
マイキー・マディソン(26)(時事通信フォト)
「スタイリストはクビにならないの?」米女優マイキー・マディソン(26)の“ほぼ裸ドレス”が物議…背景に“ボディ・ポジティブ”な考え方
NEWSポストセブン
沢口靖子
《新たな刑事モノ挑戦も「合ってない」の声も》沢口靖子、主演するフジ月9『絶対零度』が苦戦している理由と新たな”持ち味”への期待 俳優として『科捜研の女』“その後”はどうなる?  
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
《かつてのクマとはまったく違う…》「アーバン熊」は肉食に進化した“新世代の熊”、「狩りが苦手で主食は木の実や樹木」な熊を変えた「熊撃ち禁止令」とは
NEWSポストセブン
アルジェリア人のダビア・ベンキレッド被告(TikTokより)
「少女の顔を無理やり股に引き寄せて…」「遺体は旅行用トランクで運び出した」12歳少女を殺害したアルジェリア人女性(27)が終身刑、3年間の事件に涙の決着【仏・女性犯罪者で初の判決】
NEWSポストセブン
家族が失踪した時、残された側の思いとは(イメージ)
「お父さんが死んじゃった」家族が失踪…その時“残された側”にできることとは「捜索願を出しても、警察はなにもしてくれない」《年間の行方不明者は約9万人》
NEWSポストセブン
ガールズメッセ2025」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
佳子さまの「清楚すぎる水玉ワンピース」から見える“紀子さまとの絆”  ロングワンピースもVネックの半袖タイプもドット柄で「よく似合う」の声続々
週刊ポスト
永野芽郁の近影が目撃された(2025年10月)
《プラダのデニムパンツでお揃いコーデ》「男性のほうがウマが合う」永野芽郁が和風パスタ店でじゃれあった“イケメン元マネージャー”と深い信頼関係を築いたワケ
NEWSポストセブン
園遊会に出席された愛子さまと佳子さま(時事通信フォト/JMPA)
「ルール違反では?」と危惧する声も…愛子さまと佳子さまの“赤色セットアップ”が物議、皇室ジャーナリストが語る“お召し物の色ルール”実情
NEWSポストセブン
9月に開催した“全英バスツアー”の舞台裏を公開(インスタグラムより)
「車内で謎の上下運動」「大きく舌を出してストローを」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサーが公開した映像に意味深シーン
NEWSポストセブン