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後ろ倒しも失敗した夏のバーゲンセール、いまだ迷走中

 インターネット通販で物を買われたことのある方ならピンと来るかもしれないが、楽天やYahoo!ショッピング、Amazon、ZOZOTOWNにしても、常に何らかの値引き販売を行っている。

 AmazonやYahoo!ショッピングなら「タイムセール」「定期的な割引販売」が行われているし、楽天なら年に4回の「楽天スーパーセール」、ZOZOTOWNなら割引クーポン券の頻繁なバラ撒きである。別に夏と冬のバーゲンなんて待たなくても年がら年中値引きセールが行われている。

 アダストリアホールディングスの独自ECサイト「ドットエスティ」だって在庫過多なのか2017年後半から2018年5月にかけては頻繁にタイムセールを繰り返していた。ジーユーだってオンライン限定割引品がときどき存在する。いくら実店舗の店頭が値引きを控えたところで、ネット通販を探せば値下げ品はいくらでも出てくるから無意味だ。

 またSPA(製造小売り)ブランドの浸透も夏冬のみのバーゲンという売り方を無効化したといえる。

 GAPやユニクロは常に店内に「セール品コーナー」が置かれている。欲しい商品が品切れにならない限りは値下げまで待てば良いのである。しかも定期的に確実に値下げされる。

 これは他のSPAブランドでも同じだ。ジーユーもしかりだし、グローバルワークもH&Mも同様だ。こうなると、百貨店やそこに納入するブランドがいくら「バーゲンは夏と冬だけ」とか「バーゲン開始は7月下旬と1月下旬が望ましい」と吠えたところで、欲しい人はネット通販かSPAブランドかで値下がり品を買ってしまう。

 ネット通販とSPAブランドが存在しなければ、大西前社長の「バーゲンセール開始時期の後倒し」は成功したかもしれないが、SPAブランドが浸透して20年、ネット通販が急成長して10年である。伊勢丹といえども時流には勝てなかったわけで、今後は夏冬年2回のバーゲンセールではない実店舗の売り方を模索する必要があるだろう。

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