実は、全マイル戦の上がりタイムのレコードは角居厩舎にいたディアデラマドレ(2015年のマイラーズカップ)の31.9秒、ものすごいタイムです。ただし結果は7着で、走破タイムは勝ち馬からコンマ4秒差の1分33秒0です。
血統的にも末脚がキレるタイプでした。続くGIのヴィクトリアマイルでは末脚を見込まれて2番人気に推されたものの、ここも7着。それでも、やはり上がりタイムは全馬中最も速い32.8秒でした。
上がり31秒台で走れるならば、それ以前も、もう少し速く走ったらとんでもないタイムが出そうなものですけど、うまく「タメ」を作れたからこその31秒台なのです。
私は調教時にタイムをまったく気にしない。「上がりで32秒出さないと、次のレースは勝てないぞ」なんて思ったことは、ただの一度もありません。
馬の能力は資質、遺伝子レベルで決まってくるので、トレーニングによって短距離馬が長距離を走るとは思えないし、長距離馬に短距離を速く走らせても仕方がないのです。
角居厩舎ではどんなタイプの馬でも、基本的にはタメを作る調教を施します。結果的に上がりタイムを磨くということにはなっているのでしょう。