介護施設での食事介助が誤嚥性肺炎を助長していると宮本医師は嘆く。
「看護・介護の現場では職員が認知症の老人に食べ物を無理やり口に運ぶことが多々あります。口を開けない場合は職員が指を口の中に入れてまで食べさせようとする。それで食べ物を喉に詰まらせて窒息したり、誤嚥性肺炎になったりするのです」
こうしてみていくと、老人ホームでは実にさまざまな事故が起きていることがよく分かる。事故の実態を知れば、対処の仕方も見えてくる。
「誤嚥性肺炎を防ぐためには、口腔ケアを徹底している施設を選ぶこと。またベッドで食事をすると体勢が悪くなるために、誤嚥しやすくなります。面倒でも食堂で、しかも入居者自身に食べさせているかどうかは誤嚥を防ぎやすい施設の判断材料になります」(北海道のグループホーム福寿荘の施設長で看護師でもある武田純子氏)
こうした対処を進めるためにも、まずは国がしっかりと実態を把握する体制をつくることが必要だ。
●末並俊司(ジャーナリスト)と本誌取材班
※週刊ポスト2018年6月22日号