「打撲」も3351件と多数報告されている。
「ただし、骨折や打撲などは病院受診が報告の目安です。転倒があっても外傷がなければ事故扱いにしない施設もあるなど、事故の報告の基準は運営者によって異なります」(同前)
入居者が施設を飛び出してしまう「離設」は228件、そのうち死亡事故は6件あった。
「職員が知らない間に入居者が出て行ってしまい、帰り道が分からず行き倒れたり、事故に遭ってしまったケースがある。
施設側も対策に苦慮しており、離設防止のために玄関のドアを開閉するスイッチを手の届きにくい場所に設置したり、窓を開閉できないようにしたりしています。ただし、閉じ込めてしまうのは、制度上禁じられている“身体拘束”に当たる。安全と快適な生活環境は相反関係にあるという難しさがあります」(同前)
「誤薬」の事故件数は3726件。「異食」は164件。薬の飲み間違いや食べ物以外の飲み込みは、一歩間違えば死にも直結する危険な事故だ。佐藤氏は「報告件数が少ないという印象を受ける。報告にない“隠れた事故”となっている可能性が高い」と指摘する。