◆「勇敢な行動で会社としても誇り」
「栄光学園」は東大合格実績(2018年)が全国5位(77人)という超進学校でもある。梅田さんは、学年の中でも学業優秀で、1998年4月、難なく現役で東京大学に進学した。
「工学部で電気工学の研究をしつつ、テニスサークルに所属していたそうです。卒業後は大学院に進みました。大学院3年目には、日本学術振興会特別研究員に選ばれています。これは一流の研究者の登竜門で、日本中の優秀な若手研究者が応募する中で5人に1人ぐらいしか採択されません。研究員になれば、月額20万円の研究奨励金と、年間150万円以内の研究費がでます。頭脳も明晰だし、真面目。間違いなく将来の日本を背負う研究者でしたよ」(東大時代を知る関係者)
梅田さんは2006年4月、大手メーカー「京セラ」に就職し、主に太陽電池関連事業の研究に携わり、その後、外資系メーカーに転職。現在は、化学分野では世界最大手BASFの日本法人「BASFジャパン」に籍を置き、樹脂事業の新規用途開発や営業マネジャーなどを担当していたという。
同社の社長は、「痛恨の極みで強い憤りを感じる」とした上で「亡くなった梅田さんは被害にあわれた女性を助けようとしたと伺っており、大変勇敢な行動で会社としても誇りに思う」とコメントした。
普段は大阪支社に勤務していた梅田さんは月に3、4回関東へ出張。事件当日も出張を終え新幹線で帰途についていた。
「大手外資メーカーで働く奥さんと2人暮らしでした。6年ぐらい前、兵庫県尼崎市の新築マンションを購入して暮らしていました。マンションの管理組合の理事も務めていましたね」(梅田さんの知人)
梅田さんは近所の子供たちにも優しく、マンションの住人たちは一様に「許せません」と声を震わせた。
小島容疑者は警察の取り調べに対し、「(梅田さんに)犯行を邪魔されたので逆上してやった」と供述しているという。梅田さんの人生と勇気を前に、容疑者の来歴など語る価値はまったくない。
家族がいて、多くの友人を持ち、将来を嘱望され、そして誰よりも愛された、勇敢な1人の男がいた。心から冥福を祈りたい。
※女性セブン2018年6月28日号