ライフ

伸長著しい中食市場 コロッケなど揚げ物とすし類が強い理由

中食市場でコロッケは全国的に強い(写真:アフロ)

 見かけると思わず手が伸びてしまうのが惣菜。おいしい思いを体験すると習慣化もしやすい。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が指摘する。

 * * *
 この10年、食市場は内食、中食(惣菜)、外食とも伸びている。とりわけ中食(惣菜)市場の伸びが著しい。一般社団法人日本惣菜協会が発表した「2018年版 惣菜白書」によれば史上初めて、10兆円を突破し、10兆555億円に到達した。

 中食のなかでも全国的に購入頻度の高い人気の惣菜が「コロッケ」だ。今回の調査では「購入場所別に見た購入頻度の高い惣菜」についても調査が行われているが、首都圏、近畿圏、中京圏、北海道という4エリアでコロッケが1位を獲得している。

 コロッケを家庭で作るとなると、玉ねぎとひき肉を炒め、じゃがいもをふかしたものをつぶしたものと合わせてしっかり混ぜ、小麦粉、卵、パン粉をつけて揚げるという、かなり手のかかったものになるが、惣菜として買うなら1個数十円~100円前後。しかもおなかもしっかりふくれる優秀なおかず。コロッケはとても中食にむいたおかずなのだ。

 では2位以下はどうか。各エリアとも顔ぶれは似ているものの、細かな順位の違いに地域性が反映されている。

 例えば北海道と首都圏の2位は「鶏の唐揚げ」。北海道では「ザンギ」とも呼ばれ、家庭、外食、コンビニのホットスナック問わず、北海道全域に根ざしたソウルフードと言っていい存在だ。こう書くと道民からは「から揚げとザンギは違う!」と猛烈なクレームをいただきそうだが、他府県人から「鶏のから揚げ何が違うのかわからない」と首をかしげられがちなのも事実だ。

 北海道のローカルコンビニチェーンであるセイコーマートには「から揚げ」に並んで北海道独自の「ザンギ」が併売されているが、現地で聞いても「味が濃いのがザンギ」「にんにくが効いているのがザンギ」「衣がデンプンなのがザンギ」とその線引きは道民それぞれに違っていた。

 しかも同じ北海道内でもザンギは地域ごとに異なる。「釧路ザンギ」などは薄味で揚げたザンギをウスターソースベースの各店オリジナルのソースで食べたりもする。北海道には地域の数、家庭の数、人の数だけザンギの定義があると考えてもいいほど、「鶏の唐揚げ文化」は北海道に根づいているということか。

 近畿圏の2位「巻寿司」も地域特性を現している。すしといえば、全国的には握りのイメージが強いかもしれないが、大阪ではにぎりよりも「バッテラ」などの「箱寿司」が生活に根ざしている。近畿圏の人にとっては、箱寿司や巻きずしのように成型されたすしのほうが生活のなかにあったものだった。

関連記事

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《ロマンス詐欺だけじゃない》減らない“セレブ詐欺”、ターゲットは独り身の年配男性 セレブ女性と会って“いい思い”をして5万円もらえるが…性的欲求を利用した驚くべき手口 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン