国内

昭和基地調理隊員が語る南極生活の実態と感動の絶景

昭和基地調理隊員が南極での感動の絶景を語る(写真/アフロ)

 2015年、第57次南極地域観測隊の調理隊員となり2017年に帰国した渡貫淳子さん(44才)に、女性セブンのアラ暦記者“オバ記者”こと野原広子(61才)が話を聞いた。

「私、南極の話を始めると止まりません。インタビューを終わらせる時間を決めた方がいいと思いますよ」

 会うなり渡貫淳子さん(44才)は、そう提案した。私の長い記者生活でも、こんなことを言った人は初めて。しかもその目はキッラキラと輝いて、“南極”がどれほど魅力がある所か、聞く前から伝わってきた。さあ、蒸し暑い中、“渡貫母ちゃん、南極体験談”で涼んでくだされ──。

 * * *
「うわぁ~」

 ヘリコプターがバリバリと音を立てて昭和基地に近づくにつれて、真下に広がる赤茶けた基地から、私は目が離せなくなりました。

「渡貫、ヘリから降りてすぐ走り出したりしちゃだめだぞ」

 隊長から見たら、私がそんなことをしかねないかのように見えたのかもしれない。

 夏の昭和基地の映像はそれまでさんざん見てきたし、南極から帰ってきた人は「まるで月面の基地」と言った人もいた。わが目で見た大陸の私の第一印象は「工事現場感、ハンパない」でした。

 ここまで来るには、成田からオーストラリアまで飛行機で飛んで、南極観測船『しらせ』に乗り、寄港して生鮮品を積み込んで、荒れた海で3週間揺られ、最後は自衛隊の大型ヘリコプターで上陸。まぁ、気の遠くなるほど遠いんですよ。

 ヘリポートには「ようこそ」と書いた横断幕を持っている人がズラリ。1か月の間、私たち第57次隊に引き継ぎをしてから帰る第56次隊の隊員たちが、出迎えに来てくれたんですよ。

 このときの隊員のいでたちを思い出すとね、今でもダメだ、泣いちゃう。

 みんな遠目でもわかるくらい防寒服がボロボロにすり切れていて、汚れているの。それがとても神々しくて、これが過酷なこの地で1年暮らした証しなんだな。私も1年たったら、こんなふうになれるのかなと思ったら、いろいろな感情が込み上げてきました。

◆バケツリレーで30トンの食糧運び

関連キーワード

関連記事

トピックス

創価学会の「自民党離れ」は今年4月の衆院島根1区補選でも
【自公連立終焉へ】公明党の支持母体・創価学会の「自民党離れ」が進む 岸田首相の「解散やるやる詐欺」に翻弄され“選挙協力”は風前の灯火
週刊ポスト
殺人を犯すようには見えなかったという十枝内容疑者(Facebookより)
【青森密閉殺人】「俺の人生は終わった」残忍な犯行後にキャバクラに来店した主犯格の社長、女性キャストが感じた恐怖「怒ったり、喜んだり感情の起伏が…」近所で除雪手伝いの裏の顔
NEWSポストセブン
亡くなったことがわかったシャニさん(本人のSNSより)
《ボーイフレンドも毒牙に…》ハマスに半裸で連行された22歳女性の死亡が確認「男女見境ない」暴力の地獄絵図
NEWSポストセブン
長男・正吾の応援に来た清原和博氏
清原和博氏、慶大野球部の長男をネット裏で応援でも“ファン対応なし” 息子にとって雑音にならないように…の親心か
週刊ポスト
殺害された谷名さんの息子Aさん
【青森密閉殺人】手足縛りプラスチック容器に閉じ込め生きたまま放置…被害者息子が声を絞り出す監禁の瞬間「シングルで育ててくれた大切な父でした」
NEWSポストセブン
竹内涼真と
「めちゃくちゃつまんない」「10万円払わせた」エスカレートする私生活暴露に竹内涼真が戦々恐々か 妹・たけうちほのかがバラエティーで活躍中
女性セブン
史上最速Vを決めた大の里(時事通信フォト)
史上最速V・大の里に問われる真価 日体大OBに囲まれた二所ノ関部屋で実力を伸ばすも、大先輩・中村親方が独立後“重し”が消えた時にどうなるか
NEWSポストセブン
大谷が購入した豪邸(ロサンゼルス・タイムス電子版より)
大谷翔平がロスに12億円豪邸を購入、25億円別荘に続く大きな買い物も「意外と堅実」「家族思い」と好感度アップ 水原騒動後の“変化”も影響
NEWSポストセブン
被害者の渡邉華蓮さん
【関西外大女子大生刺殺】お嬢様学校に通った被害者「目が大きくてめんこい子」「成績は常にクラス1位か2位」突然の訃報に悲しみ広がる地元
NEWSポストセブン
杉咲花
【全文公開】杉咲花、『アンメット』で共演中の若葉竜也と熱愛 自宅から“時差出勤”、現場以外で会っていることは「公然の秘密」
女性セブン
京急蒲田駅が「京急蒲タコハイ駅」に
『京急蒲タコハイ駅』にNPO法人が「公共性を完全に無視」と抗議 サントリーは「真摯に受け止め対応」と装飾撤去を認めて駅広告を縮小
NEWSポストセブン
阿部慎之助・監督は原辰徳・前監督と何が違う?(右写真=時事通信フォト)
広岡達朗氏が巨人・阿部監督にエール「まだ1年坊主だが、原よりは数段いいよ」 正捕手復帰の小林誠司について「もっと上手に教えたらもっと結果が出る」
週刊ポスト