南極に着いて最初の大仕事は、日本で荷詰めした2000品目の食料を冷凍庫に積み込む作業。1年間の1人の食料は約1トンで、越冬隊は30人だから30トン。ほかに備品もある。段ボールに入ったそれらをバケツリレーで、1日で基地に納めなくてはならない。
観測船には分類ごと仕分けして積み込んだけど、こうなると段ボールが冷凍庫に山積みで、手前にある食材で作れるものを作るしかないんです。2000品目の食料の内訳は、9割が冷凍食材か缶詰か乾物。それだけに、あとの1割の生鮮野菜は貴重品です。
ざっと南極の四季をお話しすると、私たちが到着した12月は夏の真っ盛り。1月末までは、日が落ちるとすぐ昇ってくる“白夜”が続きます。3月から日照時間が日に日に短くなって、6月は1か月間まったく日が昇らない“極夜”。そして10月になると、春がやって来ます。
それから、南極ならではの気象といえば、ブリザード。私がハラハラしたのは、気象隊員が、前が見えないほどの雪嵐の中を、体をロープにつなぎ、つかまりながら出ていったとき。
行先は住居棟から約50m先の気象棟で、観測をするために向かった。2人のサポートが付き添っていたとはいえ、1m先すら見えない中、その50mが命がけですよ。さらに風速が強くなると外出禁止になって、何日も外に出られない。それが長引くと隊員のストレスがたまってきます。
もちろん、悪いことばかりではなくて、空一面のオーロラはなんとも美しい。いろんなタイプの天体ショーは、見るたびに感動しました。
※女性セブン2018年7月5日号