◆新聞批判が示すサイン
本人はその間に秋の自民党総裁選での3選に向けて着々と足場を固めている。麻生氏、二階俊博・幹事長も次々に安倍支持を表明した。
「総裁選は安倍総理の3選で決着が付いたようなもの。あとは安倍さんが石破茂にどのくらいの大差をつけてぶちのめすかが見ものだ」
安倍側近はそう豪語する。朝日が1面トップで追及を続けた森友・加計疑惑など“終わった話”と歯牙にもかけていない。新聞の劣化は、政治の劣化を招く。朝日新聞OBのジャーナリスト・前川惠司氏が語る。
「政治家が新聞批判を始めるのは、本当は政権末期のサインです。佐藤栄作首相が退陣会見で『偏向的な新聞は嫌いなんだ。直接国民に話したい』といったときも、福田康夫首相が『あなたとは違うんです』といったときもそうだった。
麻生氏の数々の新聞批判は政権が吹き飛ぶきっかけになってもおかしくない内容だが、そうならないところに朝日の信頼低下の深刻さがある。新聞が“社会の木鐸”としての機能を失えば、チェックがなくなった政治も間違いなく劣化していく」