それは最終的には国民の劣化につながっていく。メディア法が専門の服部孝章・立教大学名誉教授が指摘する。
「朝日を含めて安倍退陣要求を正面から書く新聞が1つもない。安倍内閣の失政は明らかでも、その先の見通しをメディアが読者に示すことができないわけです。現状維持なら国民は新聞を読んで考える必要がないから、『新聞を読んでも無駄』という意識が高まる。麻生氏の『自民党の支持者は新聞を読まなくていい』という論理が説得力を持つ。
デジタル社会で新聞は教養として読まれるものではなく、仕事で必要に駆られて読む類の“ツール”になっている。政権に都合のいい“無知のススメ”はこの国に相当浸透しているように思える」
服部氏は、この道は政治家も新聞も国民も“1億総白痴化”へと進む道だと警鐘を鳴らすのだ。
※週刊ポスト2018年7月13日号