「彼らが次なるターゲットにしているのは、ズバリ中高年女性です。仕組みは、若者を狙い撃ちにしていた時と一緒でしたが、中高年女性は若者よりカネを持っている。夢を見させておだて上げれば、若者よりうま味のある“カネ儲け”になると気が付いたのでしょう。加えて美男子のスタッフを集めておばちゃんを接待させて……まあホストクラブみたいなもんですね」
こう話すのは、都内の大手芸能事務所幹部。件の運営団体幹部はこれまでも様々なトラブルを起こし、業界内でも総スカンを食らっていたはずなのだった。しかし、消えたと思うとまた現れ、新たに考案したと思われる”ギリギリ商売”を繰り返しているというのだ。
筆者は運営団体関係者の携帯電話に連絡を入れてみたが、運営団体幹部の名前を出し、彼の経歴について言及した途端、一方的に切られてしまった。その後、いくら電話を鳴らしてもつながることはなかった。
ごく最近、更新された同ファッションショーのHPにも、派手なドレス姿でワイングラスを持つ丸田さんの妻の姿があった。丸田さんは「妻の趣味だから……」と腰引け気味だが、本人が「騙された」と気が付いた時には、何もかも失っているときかもしれない。
筆者はこれまでの取材で、彼らのような卑怯な大人に騙され、まさに”夢に溺れていく”ような若い女性を幾人も見てきた。夢の為、将来の為などとういう甘言によって、連中が用意した偽りの世界に連れてこられた彼女たちは、最初こそは「業界」の魅力に酔いしれていた。そして自身がモデル、芸能人になったのだと錯覚し、夢の続きを少しでも長く見ようと、連中に多くの金品を、そして体までを差し出し始める。若い女性だけでない。若い男性でも同様に騙されるし、中高年女性でも同様だ。以前取材した悪徳芸能事務所の代表は、女性たちから金品を巻き上げている事実について、開き直りつつ次のように言い放った。
「彼女たちは客ですよ、僕は夢を見させているだけ。仕事をしているつもりでしょうけど、あんな(風貌)でモデルなんてできるわけがない。そこを勘違いしている人はどうぞ勝手にしてって(笑)。金を出せばモデルにしてあげますよ、タレント気分にしてあげますよってこと。ホストやキャバクラと同じですよ。ステージを一度歩いたら忘れられないし、スタジオで写真撮られたら、みんな自分がイケてるとかモテるとか勘違いする」
彼らに狙い撃ちにされた若い女性たちは、背負った莫大な借金を返しつつも新たな生活を送っている。中高年女性が同じように奪われてしまったら、立ち直ることはできるのか。今から心配でならない。