対策としては賃金制度の抜本的な改革だ。
「年功的な給与制度を完全に廃止することです。やっている仕事と成果だけで給与を払う。50歳の社員がやっている仕事が30歳の社員と同じであれば年収400万円しか払わないとか、年齢に関係なく完全にフラットな賃金制度を60歳以降も同じにするのです。
そうすれば50歳の社員が『こんな給料じゃやっていけない』と言って辞めるかもしれないし、60歳以降も会社に残りたい社員が減る可能性もあります」(食品業人事部長)
つまり今の給与制度をシャッフルして、人件費を増やすことなく完全成果主義に移行するということだ。だが、急激な給与の低下は「不利益変更」で社員に訴えられる可能性もあるので4~5年準備期間が必要になる。
建設関連企業の人事部長も再雇用社員に限らず現役世代も含めて年功賃金から完全成果主義に転換していく必要があるという点では共通する。そのうえでこう指摘する。
「これまで60歳以降の社員は福祉的に雇ってきたが、完全成果主義になると、仕事の成果を出せない年輩社員は当然、お荷物扱いされるでしょう。若い人からタメ口を聞かれるようになり、居づらくなります。
65歳定年制になれば会社としても50歳代のうちに、60歳以降も残すのか、残さないかを早い段階で選別し、残さない人は早期に辞めてもらうリストラを積極的に推進することを考える必要があります」
50代の社員で、今後も人手不足が続くので会社の再雇用で定年後も逃げ切れるだろうと考えている人がいるとすれば、それは大間違いだ。60歳以降も雇われるようにするにはどうするか、65歳以降もどうやって稼ぐかを真剣に考えないと生き残れる保障はないのである。