国内

世界で進む「製薬会社と医師の関係」透明化、日本は出遅れ

医学界の姿勢が問われている

 現在、製薬会社と医師の関係を「透明化」する動きが世界中で進んでいる。米国はオバマ政権下で、製薬会社から医師への10ドル以上の金品提供を医師の個人名とともに公開する通称「サンシャイン条項」が2013年から施行された。豪州や英国でもデータベースの公開が始まっている。

 日本でも大手製薬会社が加盟する日本製薬工業協会(製薬協)が2011年に透明性ガイドラインを策定し、2013年から各企業がホームページで順次、情報公開を行なっている。

 日本学術会議は2014年、「製薬協は、各企業が開示する医療施設・機関等、医師への支払額などの情報を、全てデータベース化する」との提言を出した。

 しかし、日本における開示情報は「フルオープン」とはかけ離れている。医療情報の公開を進めるNPO法人・医療ガバナンス研究所とジャーナリズムNGO・ワセダクロニクルは共同で「製薬会社71社から謝礼をもらった医師とその金額」について、各社の情報を集約した。その結果、405人のうち、350人が受け取っていたという。同調査の責任者で医療ガバナンス研究所の尾崎章彦医師(常磐病院外科)が語る。

「製薬協はいまだにそのデータベースをつくっておらず、会社ごとの公開なので、ひとりの医師がどれだけの謝礼を受け取ったかを知るには、閲覧者が会社ごとのデータを統合する必要があります。しかもデータを見るために閲覧者が申請して会社に承認される必要があったり、ダウンロードができないなど、とても閲覧しづらい。二次使用を禁止する会社も多い。これでは薬を服用する患者がチェックできません」

関連キーワード

関連記事

トピックス

滋賀県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月25日、撮影/JMPA)
《すぐに売り切れ》佳子さま、6万9300円のミントグリーンのワンピースに信楽焼イヤリングを合わせてさわやかなコーデ スカーフを背中で結ばれ、ガーリーに
NEWSポストセブン
注目される次のキャリア(写真/共同通信社)
田久保真紀・伊東市長、次なるキャリアはまさかの「国政進出」か…メガソーラー反対の“広告塔”になる可能性
週刊ポスト
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
《安倍晋三元首相銃撃事件・初公判》「犯人の知的レベルの高さ」を鈴木エイト氏が証言、ポイントは「親族への尋問」…山上徹也被告の弁護側は「統一教会のせいで一家崩壊」主張の見通し
NEWSポストセブン
この笑顔はいつまで続くのか(左から吉村洋文氏、高市早苗・首相、藤田文武氏)
自民・維新連立の時限爆弾となる「橋下徹氏の鶴の一声」 高市首相とは過去に確執、維新党内では「橋下氏の影響下から独立すべき」との意見も
週刊ポスト
元・明石市長の泉房穂氏
財務官僚が描くシナリオで「政治家が夢を語れなくなっている」前・明石市長の泉房穂氏(62)が国政復帰して感じた“強烈な危機感”
NEWSポストセブン
新恋人のA氏と腕を組み歩く姿
《そういう男性が集まりやすいのか…》安達祐実と新恋人・NHK敏腕Pの手つなぎアツアツデートに見えた「Tシャツがつなぐ元夫との奇妙な縁」
週刊ポスト
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン
35万人以上のフォロワーを誇る人気インフルエンサーだった(本人インスタグラムより)
《クリスマスにマリファナキットを配布》フォロワー35万ビキニ美女インフルエンサー(23)は麻薬密売の「首謀者」だった、逃亡の末に友人宅で逮捕
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左/バトル・ニュース提供、右/時事通信フォト)
《激しい損傷》「50メートルくらい遺体を引きずって……」岩手県北上市・温泉旅館の従業員がクマ被害で死亡、猟友会が語る“緊迫の現場”
NEWSポストセブン
WSで遠征観戦を“解禁”した真美子さん
《真美子さんが“遠出解禁”で大ブーイングのトロントへ》大谷翔平が球場で大切にする「リラックスできるルーティン」…アウェーでも愛娘を託せる“絶対的味方”の存在
NEWSポストセブン
ベラルーシ出身で20代のフリーモデル 、ベラ・クラフツォワさんが詐欺グループに拉致され殺害される事件が起きた(Instagramより)
「モデル契約と騙され、臓器を切り取られ…」「遺体に巨額の身代金を要求」タイ渡航のベラルーシ20代女性殺害、偽オファーで巨大詐欺グループの“奴隷”に
NEWSポストセブン