「彼女を朝ドラに推したのは、僕なんです。『刑事物語3』を観たら、演技はイマイチだけど、それを吹き飛ばす瑞々しい魅力があってね。NHKのプロデューサーに『端役でもいいから使いなよ』って話したら、オーディションであれよあれよという間にヒロインの座を射止めちゃった。
彼女には思わず応援したくなる“健気な可憐さ”があった。演技力は発展途上なのに、否応なく引き込まれるんです」
7位は『はね駒』(1986年春)の斉藤由貴。沢口とは対照的に、すでに『スケバン刑事』(1985年)に主演するなどアイドルとして人気絶頂だった彼女は、多忙を極めるなかで半年間、ヒロインを演じ切った。テレビドラマに詳しいフリーライターの田幸和歌子氏が語る。
「彼女が演じた“りん”は女性記者の草分け的存在で、許嫁との結婚を自ら破談にして福島から上京するという、当時としては思い切った役どころでした。『はね駒』はお転婆娘という意味ですが、りんのお転婆な可愛さと斎藤さんの大きな目、エネルギッシュなイメージがぴったりでした」
※週刊ポスト2018年8月17・24日号